地球は丸く、太陽が当たる場所は常に半分。完璧ではいからこそ、その存在を人は愛す。「じゃぁ、ちょっといってくるから」
工藤家の玄関前で突然そう言ったのは、快斗。
その表情は、どこか焦っているような落ち着きのない印象だった。
今年は珍しく自分の誕生日を覚えているにも関わらず
その誕生日の一週間前に急に何処か外国へ行くと言い出した快斗。
パンドラ絡みなのだろうと、新一は特に追求することもなく了承する。
「気を付けてな」
快斗のことだから、自分の誕生日が一週間後であることは
解っていることなのだろう。
だからこそ、焦っているのかも知れないと新一は笑顔で見送る。
その自分の笑顔に安心したのか、
快斗は案外あっさりと自分が目の届かない処へと旅立っていった。
第一日目―――。
そんな快斗を見送ってから、すぐに振動するスマホ。
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