風の日 とある休日。今日はよく晴れていて雲も少ない。ただ、風が吹いている。外に置いているものが飛んでいきそうなくらいの強い風が。
「うわ、本当に風が強いな。オレのターバンも吹き飛んでいきそうだ。」
そう言いながらなっはっはという笑い声と共にカリムは寮の中庭にいた。
噴水の揺れる水面を見つめる瞳はワクワクとドキドキが混ざり合ったものだった。
「そう言うなら大人しく部屋に戻ってくれないか、カリム。」
眉間にしわを寄せてカリムの後ろに佇むジャミルの髪はびっくりするほど風になびいていた。
「だってさ、ジャミル!こんな風めったにないだろ?遊ばないともったいないじゃないか!!」
そういうカリムの側には絨毯が屈伸のような動きをして待機している。
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