くぐりが17歳になる話 何度目かの天井の下で、來人は目覚めた。昨夜は潜といつものホテルで過ごしたんだったなと、アルコールの残ったあたまでぼんやりと思い出す。しばらくそのままぼうっとタブレット端末のメールをチェックしていると、潜も目覚めたようで、もぞもぞと布団の中から起き上がった。しかし、そこにいたのは、いつもの見慣れた彼ではなかった。
「潜……?」
顔立ちや肌と瞳、髪の色はよく似ているが、随分と華奢で、幼く見えた。高校生くらいだろうか、美少年という言葉がよく似合う。
「?、……っ」
彼は目をまるく見開いてこちらを見つめた。潜、ともう一度声をかけるとそのまま目を背け、顔を覆って肩を振るわせる。
「ふ、あは……っ。……かみさまは本当にひどいね、いまさら現れて、なんだって言うのかな」
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