Moving in together「場地さんが浮気した!」
バックヤードで叫ぶオレを一虎くんが冷ややかな目で見つめる。
失礼な奴だと思ったが、緊急事態の今そんなことを気にしている暇はない。
勢いよく開けた扉を閉めて、一虎くんが座っているテーブルまで速足で歩く。向かいに座るとあからさまに嫌そうな顔をされた。
「聞いてくださいよ」
「嫌だ」
「聞いてくれないなら給料減らしますよ」
「流れるようにパワハラするな」
悪態をつきつつも操作していたスマホをテーブルに置く一虎くんは、なんだかんだ優しいところもあるのだ。問題があるところの方が多いけど。
「で?場地が浮気したって?」
「そうなんですよ!」
「ありえねーだろ」
鼻で笑う一虎君を睨む。一虎くんはオレよりも場地さんとの付き合いの方が長いから、いつもすぐに場地さんの味方をする。
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