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    お疲れ土方くんとぱちぐら定春と銀さん

    大事な思い出はその目に焼き付けろ「う…くそねみィ……」

    その日土方はボロボロだった。冬の乾燥で蔓延したウィルス性感染症に隊士達が次々と罹患。巡回の穴を副長自身で埋める事数回。休みを返上して勤務を続けていた。そうして気付けば20連勤。新政府が立ち上がったばかりの江戸に労働基準法なぞまだ存在していないし、人手不足を補うのは上司の勤めと身を粉にして働いた。その結果、流石に疲労困憊で眠気も強い。この疲れた身体は健康ランドで癒してからゆっくり眠ろう…そう考えかぶき町へ来ていた。

    「定春ー!止まるアル!」

    聞き覚えのある少女の声に振り向くと白い軽自動車が土方を跳ね飛ばした。土方にはその塊が軽自動車に見えたのだろう。

    「わんっ」
    「駄目じゃない定春。あ…やべ」
    「くぅ〜ん…」

    倒れて気を失う土方の周りを軽自動車もとい定春と神楽が囲う。

    「定春…うちに連れてくヨ」
    「わんっ」

    定春の背に土方を乗せると神楽は万事屋へと向かった。



    玄関先で土方に外傷がないと分かると神楽は居間から寝室へ土方を運ぶと銀時の敷きっぱなしの布団へと寝かせた。

    「ヨシ、定春温めるアル。そこにねんね!」
    「わんっ」

    暖房のない寝室は冬はとても寒い。定春を横に寝かせるとそのフワフワのお腹に土方を寝かせる。寝不足なのか血色の悪いクマが浮き出ている土方に掛け布団を被せその横に神楽も座った。外の乾いた寒さを肌で感じた後だ。散歩で温まった定春の身体は湯たんぽのように温かい。このままでは自分も寝てしまいそうだ。寝て……




    「うー、寒っ!銀さんと神楽ちゃん帰ってるかな?」

    夕飯の買い物を終えた新八が万事屋の戸を開くと帰宅を告げる靴が乱雑に置かれている。

    「あー、もう靴は揃えてって言ってるのに、神楽ちゃんも銀さんも………」

    新八より小さな黒いカンフーシューズは神楽の物で間違いない。それと一緒に脱ぎ捨てられた見覚えのない草履は明らかに男性物だ。銀時は甚平の時以外はいつものジャージとブーツを愛用している。今日もいつもの格好で出かけた筈だ。ならばこれは…まさか…

    (神楽ちゃんが…お…男の人を連れ込んでるだとォォォ?!いやいや神楽ちゃんは見た目は立派なレディっぽいけどまだ16歳だよ?そんな…まさか…海坊主さんが会いに来たに決まっているよ…やだなぁ僕ったら…ハハ…ハハハハ)

    「神楽ちゃん、ただいまー」

    白々しく声を上げて居間に入るが、そこに人の気配はなく。寝室に目を向けるとふすまが少し空いたままだ。

    (イヤァァァ!!嘘だ!神楽ちゃんが誰ぞのもんとも分からない男と寝室に?!僕の知らないところで神楽ちゃんが神楽さんにィィィ!…銀さんが知ったらどうなるか…ここは僕がちゃんとしなきゃ…神楽ちゃんが騙されてるかもしれないっ!)

    新八は思い切って寝室のふすまを開いた。
    そこには見覚えのある犬に見覚えのある少女、そして見覚えのある…

    (土方さん…?何で…)

    定春に横たわるように布団をかけられ寝ている土方の顔は少し疲れているように見える。その横で座ったまま寝息を立てる神楽を見て新八はフ、と笑った。

    「寒いから僕も暖とろっかなぁ〜」

    わざとらしく小さな声で空いた土方の横に行くと、定春に寄りかかるように目を瞑った。




    「たでーまぁー、おーい、銀さんがけーったぞー」

    いつもなら定春を始め、新八らが居間から顔を出して迎えるか、「おかえり」と返事を返すうちが今は誰も不在かのような静けさがある。
    しかし、玄関に並べられた靴の数を見れば在宅しているのは一目瞭然で。数の多い草履に来客中かとそのまま居間へ向かう。だが、静まる居間に人の気配はない。開け放たれた寝室が目に入りまさかそこに…?と何をしてるんだと敷居を跨げば眼前に映る光景にきょとんとしてしまう。
    定春に凭れて眠る土方と両隣で添い寝する二人の従業員。未だかつてこんな光景があっただろうか。銀時は静かに万事屋を出ると、玄関を出た瞬間駆け足で階段を降りてそのままスナックお登勢に駆け込んだ。

    「おい!ババァ!《写ルンです》持ってねぇか?!」
    「なんだい突然!そんなもんあるわけないだろう!」
    「お任せ下さい銀時様」
    「そうか、たま!でかした!直ぐ来てくれ!」

    万事屋に戻ると未だ起きる気配のない従業員たちに安堵し銀時が定春の後ろに周りその背に前から寄りかかった。その拍子に定春が寝ぼけ眼に目を覚ますと、銀時がシーッと指を立て動くなと合図する。定春は分かっているのかいないのか、再び眠りについた。

    「撮影モード、オン、撮りますよ。ハイ、チーズ」

    たまの合図に銀時はニッと笑った。そんな銀時たちを見てたまも微笑ましくその光景を目に焼き付けた。

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