触手 詳細は割愛するが、ダンジョンに入ったら触手に襲われた。マトリフは今まさに身体中を触手に拘束されている。
法衣の上から巻きついている触手は絶えず蠢いていた。手足が引っ張られて体勢が保てず、持ち上げられた身体は床から浮いていた。触手は何かを探すようにマトリフの身体のあちらこちらを嗅ぎ回っている。触手はひやりと冷たく、じっとりと湿っていた。
触手は一見すると植物のようだった。マトリフはそれが魔界の植物だと思い、近付かないようにしたのだが、足元にあった蔦がいつの間にかマトリフの脚に絡みついていた。
逃げたくてももはや手遅れだった。触手はマトリフの全身に絡みつき、身動きが取れなくなっている。さらには毒でも出しているのか、身体は徐々に痺れていた。太い触手に口を塞がれ、叫び声さえもくぐもっている。こうなったら呪文でダンジョンを脱出するしかなかった。
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