兄者の手紙。続き「
…髭切様は、俺たちは、数多の本丸の数だけ顕現させていただいて、そしてそこには刀のままの自分も少なからず保管されているだろう?
それをあなたはどう思われる?
俺には、旅に出られた兄者がいる。
この本丸で顕現された膝丸は俺一振り、
この本丸で顕現された髭切は、俺の兄者とあなたの二振り。
…二振一具の数が合わぬ。
あなたはどう思われる?
空席になれば補充して、それでソレと成るのか
それとも…もしや俺は正しく選ばれなかった在庫で、俺の兄者はそのことに気付かれたのか。
…正しくない弟が、まるで自分の正しい弟かのように兄者兄者と慕う姿が、あの方のお心を痛めつけてしまったのだろうか。
ああ、あなたはまだお聞きになったことはないか。
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