ゆるしてあげる、なにもかも 携帯が震えた。手が空いていたから、誰からの通知か確認した凛は機嫌が急降下したのを感じながらガラの悪い声を出した。爆速で相手へと電話をかける。メッセージを送れるなら出れるだろう、そんなことを思いながら。
『──もしもし?』
「ふざけんなさっさと帰ってこい蹴り倒すぞ」
言うだけ言って、返事も聞かずに切断した。そうすれば、あの女は帰ってこざるを得ないと知っていたからだった。
『きょう帰りたくない』
届いた馬鹿げたメッセージ。原因は幾つか思い当たるものがあった。試合中の不調が大半を占めているだろう、と凛は踏んで、そこから発生するどうしようも無い苛立ちで此方を傷つけまいなどと考えたのであろうとおおよそ検討をつけた。
4298