うつつの夢世の中では良く、愛というのは1番タチの悪い呪いだと言う
その法則に則れば、確かにお互いの間で燻り続けたこの愛は呪いだったのだと確信出来るのだ。
愛は行き過ぎると人を滅ぼす
よく話していた
幼すぎた私はよく理解が出来なかったが、今なら何となくそれが理解出来よう。
「お久しぶりです」
線香を1本、ライターで火をつけ線香立てに立てる
形容し難い匂いにふいの懐かしさを感じながら手を合わせ数秒、閉じていた瞼を開き写真立ての中で笑う彼を見つめていた。
「はい、お茶」
「ありがとうございます」
広い日本家屋、そこはもうずっと管理のみで住んでいる者はいない。
しかし家具も何も無い居間、今アーチャーと藤村大河が座っている部屋にはひとつだけ残されたものがあった
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