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    途中で力尽きた弓士の小説
    死んでる事があたりまえ体操ですね、というやつです

    うつつの夢世の中では良く、愛というのは1番タチの悪い呪いだと言う
    その法則に則れば、確かにお互いの間で燻り続けたこの愛は呪いだったのだと確信出来るのだ。

    愛は行き過ぎると人を滅ぼす
    よく話していた
    幼すぎた私はよく理解が出来なかったが、今なら何となくそれが理解出来よう。

    「お久しぶりです」

    線香を1本、ライターで火をつけ線香立てに立てる
    形容し難い匂いにふいの懐かしさを感じながら手を合わせ数秒、閉じていた瞼を開き写真立ての中で笑う彼を見つめていた。

    「はい、お茶」
    「ありがとうございます」

    広い日本家屋、そこはもうずっと管理のみで住んでいる者はいない。
    しかし家具も何も無い居間、今アーチャーと藤村大河が座っている部屋にはひとつだけ残されたものがあった

    それは、数年前まで住んでいた衛宮士郎という男の仏壇だ。

    当時まだ小学生だったアーチャーは、彼の事を心の底から好いていた
    もちろん、その好意は士郎にいつも笑って受け流されていたが。

    「士郎も喜んでるわよ、なんてったって成人してからやっとアーチャーくんが来てくれたんだからね」

    記憶の中の姿から少しだけ顔にシワを湛えた大河が笑う

    「仏壇しか残ってないから、ゆっくりしてって言われても困ると思うけど…ゆっくりしてってね」
    「はい」

    アーチャーがこの家によく来ていたのは小学生の高学年期のみ
    士郎が亡くなったのはアーチャーが中学3年の頃だった。
    最後の記憶は葬式の時の記憶
    棺桶の中で眠る姿が何故か無性に怖くて泣いていた記憶がある。

    「アーチャーくん、医大行ってるんだっけ」
    「はい」
    「どんな感じ?やっぱり難しいよねぇ」
    「はは、そうですね」

    それとなく会話を続ける
    士郎の死因は自殺だった。
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