お題：イベント　ついに来た。
　人が溢れ返る会場で、風見は万感の思いに浸っていた。
　今日は待ちに待った、怪コレの周年記念フェスである。ゲームのリアルイベントに参加するのは初めてで、この日の為に仕事を必死にこなし非番の日程を合わせ、当日に向けて体調を整えた。
　そうして、無事に会場に到着したが、アイドルフェスの時はヨーコさんの出番直前に降谷に呼び出されるという憂き目に遭った。今日はそんなことはないと祈りたい。
「さて、どう回ろうかな……」
　グッズ列に並ぶか、人が増えてくる前に展示を見るか……と掲示されている会場内マップに近寄る。
　と。
「……………ん？」
　マップを見上げる人影に、風見は目を細めた。
　すらりとした立ち姿。キャップをかぶっていても、そのモデル並みの顔立ちとスタイルは到底隠しようがなく、周囲の客がひそひそと「公式レイヤーさん？」だの「取材に来たタレントじゃない？」とチラチラ気にしている。

お題：くしゃみ　くしゅっ、と小さな音がした。
　誰かのくしゃみの音か、とその場にいた全員が目を一点に向ける。
　視線を受けた佐藤は、きょとんとしてから手をパタパタと横に振った。
「違う違う。違います。私じゃないわよ、今のくしゃみ」
「佐藤さんじゃないんですか？」
　白鳥が意外そうに目を見張る。今、この場には佐藤しか女性がいないのに、と。
「じゃあ、今の可愛らしいくしゃみ、誰だったんですか？」
　高木が不思議に思いながら周囲を見回した時、鼻をぐすっと鳴らす音がした。
　今度はその音を立てた人物に目が集まる。
「………失礼」
　鼻を押さえながら言った風見を見て、全員が意外な結果に茫然としたのだった。

　＊

　車に乗り込みながら、風見は憮然として今日の捜査会議のことを思い返す。

【こは杏】私房摄影“我真傻，真的”白石杏说，“我明知道心羽对摄影感兴趣，我不知道她对那种摄影也感兴趣……！我不该为了躁她给她转发那种东西的，我没想到她一看就喜欢上了，还要我当模特。现在她去拿相机和衣服了，我要怎么办啊……”

她说着说着整个人都快到桌子底下去了，旁边的东云彰人怜悯地看了她一眼。“我知道了，今天我们后半天都不会安排训练的。”他假情假意地安慰了一下，转身搂着他完全不知道发生什么的搭档就走了。


……


“想看小杏穿这个衣服……想给小杏拍照。”

她的搭档如是说。

她的搭档用着那一如既往的可爱笑容，脸上带着不知道是羞怯还是兴/奋带来的可疑红晕，看着她如是说。




完了。

白石杏你要完蛋了。

白石杏在内心里哀嚎。

最初，没有人在意这场灾难。这只是闲时在网上冲浪的白石杏随手的一个转发，这个举动她完全没有过脑子。对吧，谁会在冲/颜/色/浪的时候思考太多呢对吧。