そばにいること2完全に道選びを間違ったな、と春日は苦虫を噛み潰したような顔をしてため息をついた。
久々に仲間たちが集まり、サバイバーの二階でいなり寿司パーティーをした後。荒川親子の仏前にと、趙が差し出したのは春日が作った分のいなり寿司だった。
皆でわいわいと騒いでいたあの中で、きちんと春日が作った分を選り分けてくれていたその気遣いと、他の仲間たちが腫れ物に触るように避けていた、おやっさんと若に対して、気負いなく差し出された言葉。
それが嬉しくて、思わず一緒に来て欲しいと行ってしまったが。
仏壇のある浜子の店の二階に行くため、最短距離で選んだ朝焼け通りは同じような小料理屋を装った店が並ぶ。開店前の夕暮れ時には、店の前に手持ち無沙汰な女の子たちがいて、この界隈ではすっかり顔馴染みになった春日に声を掛けてくるが、今日は皆、隣を歩く趙に興味津々だった。
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