白い夢を見たカツ、カツ。
消灯後のセンタードームに靴音が響く。清潔に、と言うよりかは不衛生さを拒絶しているような白い壁、白い床、白い天井。自分の存在がぽっかりとその中で浮いてしまっているような錯覚を覚える。えも言われぬ焦燥感に駆られて自然と足取りが早まる。
いつになったら帰れるのか。
今日探索したばかりの丸い建物の中を無軌道に歩き回りながらそんなことばかり考えた。部屋にいたら頭がおかしくなってしまうと思い、センタードームの中を散歩することにしたのだ。
ここは本当に未来、それは一日で嫌という程わかった。オーバーテクノロジーの書籍、仕組みの分からない建物、……機械から生まれる、人間。
そうした一つ一つを思い出しながら、記憶を振り切るように足を早める。元の世界の友人たちはどうしているのか。なんで、自分なのか。不条理に自分の人生から切り離されてしまった苛立ちが募る。
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