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    Oku12_hrak

    @Oku12_hrak
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    Oku12_hrak

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    森ちゃんのお誕生日を祝い忘れた……罪深い……。そっと載せておきます

    #植森
    plantation

    Happy Birthday A.MHappy Birthday A.M


     誕生日は8月8日。世間的には夏休み。そのせいか森は、友人こそ多いが面と向かって誕生日を祝われた経験が少ない。子どもの頃は少し寂しかったが、いまはそれほどでもない。
     なにせ現代にはメッセージアプリという文明の利器があるので。日付が変わった瞬間に次々鳴る通知音に苦笑いしてしまうくらいだ。画面をタッチして、送信者の名前を確認する。大体が同じ学校の友人だ。そこに時折、特殊な事情で知り合った名前が入る。いまはここにない名前も、時差の関係で送っていないだけで直に追加されるだろう。
     ただ、同じ国に住んでいても送ってこないやつもいる。三度の飯を食べながら鼻提灯を出して寝入る男だ。この時間ならとっくに熟睡しているはず。
     きっとこの後もメッセージは送られてこない。その理由を、森は嫌というほど知っている。

    『森ってさ、誕生日いつだったっけ?』

     夏休みにはいる少し前、件の男・植木がそう訊ねてきた。正直、人の誕生日を気にするやつだったのかと驚いてしまった。驚愕から立ち直り、理由を聞いた。

    『いや、この前祝ってもらっただろ? 姉ちゃんがお返ししろってさ』

     なるほど。姉からの入れ知恵であったか。森はホッとしたが、あの女性は何か誤解している気がする。森と植木は断じてそういう関係ではない。いまはまだ。まだとはなんだ、これからもない。決して。たぶん。

    『姉ちゃんに言われて考えたんだけど、そういえば森の誕生日知らねえなと思って』

     去年は忙しかったから、お互いの誕生日なんてスルーしてたしと植木が続ける。それは確かに、と森は頷いた。去年のふたりの誕生日は、人生でいちばん濃い出来事の真っ只中であった。あの激動の日々からもう一年経つとは。時の流れは早いものだ、なんて年寄りじみたことを思う。
     それはさておき、誕生日である。森は特に祝ってほしいとは考えていない。植木の誕生日を祝ったのは森がそうしたかったからで、見返りを求めたわけではない。それをきちんと植木には伝えた。

    『それに私の誕生日、夏休みの真っ只中だからさ。わざわざ祝ってもらうのも悪いかなっていうか』

     誕生日にメッセージ送ってもらうだけでもありがたいから。そう言って、森はこの話を終わらせようとした。だが、植木は譲らなかった。

    『いやだ』

     忘れていたわけではない。植木耕助という男は譲れない一線は絶対に引かない男だった。それが、なぜか森の誕生日を祝うベクトルに向いている。

    『森、言ったじゃん。自分が祝いたいからオレの誕生日を祝ったんだって。オレだって森の誕生日を祝いたいからするんだ。きっかけは姉ちゃんだけど、オレの意思でそうしたいと思ったんだ』

     ぐいぐいと詰め寄ってくる植木。森は「近い!」と腕を目一杯伸ばして、植木の額を押さえつけ距離を取る。植木はそれ以上近づくことはなかったが、退くつもりはないらしい。結局、森は根負けし、自身の誕生日を教えたのであった。
     それからすぐに夏休みが始まって、そわそわと植木からの連絡を待っていた。しかし、森の誕生日が近づいてきても、植木からは梨の礫だった。ひょっとして忘れているんじゃないかと疑ってしまう。自分だけ気にしているんじゃないかと思って、馬鹿みたいだと思ってしまう。
     だが、誕生日前日。メッセージが届いたことを知らせる着信音が鳴った。植木からだった。滅多にこない植木からの連絡に、思わず携帯を取り落としそうになる。改めて、メッセージを確認した。

    “明日10時。駅前広場で待ってる”

     絵文字もなにもない、用件だけの素っ気ないメッセージ。植木らしいと言えばらしい内容だ。森はしばらく、たった十五文字の言葉を見つめていた。どうやら忘れていたわけではなかったらしい。森はベッドに倒れ込んで足をバタつかせた。
     明日、いや、もうすでに今日か。植木はどんな誕生日にしてくれるのだろう。それが気になって、森は早くに布団に潜ったにも関わらず、目が冴えきっていた。

     まだしばらく、眠れそうにない。
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    DONE狩人カンタロウ×狼ナギリの話。

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    もふもふパラダイス ナギリは森で一番強くて怖い狼だ。なのに、狩人であるカンタロウの番にされて小屋に閉じ込められてしまった。カンタロウは狼ではなく人間だ。狼だとバレたら、鉄砲で撃たれて殺されると思ったナギリは、辻頭巾と名乗って人間のふりをしていたのに、カンタロウにはあっさり狼だと見破られてしまった。
    けれど、狼だとバレてもカンタロウは銃で撃たなくて、ナギリをお嫁さん、番にしたいのだと求愛してきた。ナギリは森で、一人ぼっちの狼だったから、番が出来るなんて考えた事もなかった。カンタロウは毎日獲物を捕ってくる優秀で強い狩人だ。冬の間も暖かい小屋にナギリを招いてふかふかの巣も用意してくれた。カンタロウと一緒にいると、飢える事もないし、森では食べた事もないような甘いお菓子も沢山くれる。何より、怖がって誰も近寄って来なかったナギリをぎゅっと抱き締めてくれるので、ナギリは慣れない毛づくろいをカンタロウに返してやった。ぺろぺろ舐めてやると、カンタロウはナギリの頭や耳、しっぽを撫でてくれた。力の強い人間だが、撫で加減は中々悪くなかった。お風呂は嫌いだが、ブラッシングとやらは気持ちが良い。こんな強くて献身的な番は森の中の何処を探し回ってもいないだろう。つまり、ナギリは森で一番の番を手に入れたのだ。それはちょっと気分が良くなったので、行動範囲をカンタロウの巣の周りだけに限定されたのを守ってやっている。
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