トラウマ今でも思い出せる。
あの日、あいつを斬った感触を。
あの日、あいつから体温が無くなっていく感覚を。
手が、震える。
結局俺は守られてばかり。
俺は誰も、何も守れやしないんだ。
『ああそうさ、お前は何も守れない。そして皆お前の事を憎んでいる。側にいる者からも』
そう、言われてニヤリと笑われた。
「っ!」
一気に目が覚める。
額と背中には大量の汗。
「……最近、よく見るな」
最近よく見るんだ。この夢を。
そして隣にはあいつが眠っている。
あいつは奇跡的な力によって戻ってきてくれた。
俺の側にいる事を約束してくれた。
あいつが俺を選んでくれた事は嬉しいし、今度はどこかで生きていてくれたら良いじゃなく、側で共に生きたい。
でも、よく見る夢によって本当にそれでいいのか、この夢は俺があいつの側にいるべきではないという警告なんじゃないのか、と思えるようになってきた。
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