背中を触られてぞわぞわしちゃう王様の話「王様の背中、綺麗ですよね」
ふとそんな感嘆混じりの声がギルガメッシュの耳に届いたのは、マスタールームの備え付けベッドに寝転がって、タブレット端末に表示された情報を何とはなしに眺めていた時だった。
スクリーンから目を離して顔を上げる。うつ伏せのまま声のした方へ視線をやれば、これまた備え付けの丸椅子を律儀にベッドの側まで引っ張って座っている部屋の主と目があった。彼の手にはつい先ほどまで手慰みのように開かれていた本がすっかり閉じられた状態で鎮座している。読み終わったのか、はたまた単に飽きたのか。目の前の情報だけでは判別することはできなかった。
先ほど青年に告げられた言葉を頭の中で反芻する。悪意など微塵もないであろうその言葉に、しかしギルガメッシュはぴくりと片眉を吊り上げた。
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