Blood orange of Tea cup ティーカップにはブラッドオレンジ
収穫月が、昇って降りての頃だった。
「サッチ、回収した"こいつ"はお前のだろう。柄に名前が入ってたぜ」
「あぁ…ありがとうございます、そっか…海に沈んだまんまだと思ってたんで、嬉しいです」
サッチの敬語は今更なので、白ひげは好きにさせている。使うも使わないも、息子達の自由だ。それだけで距離を感じるような繊細さは持ち合わせていない。
[[rb:A・O > アー・オー]]海賊団は、解散することなく白ひげに心酔して配下へと下ることを誓った一団である。その中の、泳ぎが達者なクルー達がわざわざ引き揚げてくれたというのだから感謝しかない。サッチは大きな掌の上、柔らかな布地に置かれた包丁の柄に指先で触れる。
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