その裏側を見せておくれよ川に落ちた果実が水底から水面にゆっくりと浮き上がるように目が覚めた。こんなにも目覚めがいいのは久しぶりかもしれない。少し身じろぎをすると、すぐ真横にヴォックスの耽美な寝顔があって、自分の体はたくましい腕と胸板に包まれていた。道理でここまで気持ちが言い訳だ。
周りはまだ暗く、窓から差し込んでいるのは月明かりで今日は満月か、なんてぼんやりと考えて、
その月明かりに照らされた顔はなんとも気持ちよさそうでついつい口角が上がってしまう。
素肌が触れ合う感触が気持ち良くて、つい回された腕に指を這わせてみれば瞼が少し動いてゆっくりと月を溶かしたような目がこちらを覗く。
「起こしちゃった、ごめん、寝てていいよ」
「ん……どうしたアイク、怖い夢でも見たか?」
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