小さくなった恋人のはじめてのおつかい「電車」
恋人がまた小さくなった話
「電車」
「千冬、ほんとに行くのか?」
「うん!いく!」
「……」
お気に入りの鞄を背負って目をキラキラさせている黒髪の子どもは、キュッキュッと音が出るサンダルを持って見上げてくる。
オレはそのキラキラと輝かせる目を無視することもできず、ただため息をついた。
千冬が小さくなったあの日から、前触れもなく起こる不思議現象。あれ以来度々千冬は小さな千冬になることがあった。
仕事が終わり帰宅すると、ソファーに丸まるちっこい体。何度体験しても驚く現象で、オレは肩から下げていた鞄を床にドサッと落としてしまった。
(昼間はなんともなかったよな!?)
一緒に昼間まで仕事をしていて、その時は大きな千冬のままだった。
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