クローリア家
かつて生きていたレディクローリアと呼ばれた黒魔術を使う魔女の血を引く者とその者達を隠す役を持つ者たちのこと。
本来は女が当主の座に座っていたがある時から男が当主になるように。
その理由は簡単、クローリアの血を濃く継ぐ魔女達は魔女を目の敵とする者たちから逃げるために隠れたから。
つまり男の当主とその家族達、そして錬金術は皆ただのデコイだった。
今は正しき血を濃く継ぐ魔女が当主の座に就いている。
いつ、彼女たちが戻ってきたかの話をしましょうか。
かつて罪を犯した当主がいた。
眠りについた死者を揺り起こすという愚行を犯したのだ。
それは彼女たちにとっては耐え難い侮辱であった。
故に、彼女たちは戻ってきた、欲に塗れて、禁忌を犯し自分たちの役目を忘れた愚かなる者を殺すために。
それはあっという間の出来事だった、魔女が1歩足を踏み入れると固く閉ざされていた屋敷のドアが開き彼女たちを迎え入れた。
屋敷の案内に従いブルーグレーの髪を持ったヘテロクロミアの魔女が歩いていく。
1番奥の部屋、今の当主たる罪を犯した女のいる部屋の扉が開くと同時に魔女は言った。
「随分と馬鹿な真似をしたんですね、死者を蘇らずだなんて」
「貴女方には衣食住を提供する代わりに私たちを隠す影となってもらわなければならなかったのに」
「でも禁忌を犯した以上もう、あなた達には任せないわ」
瞬間、ガタガタと家が揺れる。
「レディクローリアの名の元に全てを在るべき形に」
悲鳴が、否。歓喜の声が聞こえる。
「辛かったでしょう、もう在るべき場所へ逝きなさい」と魔女が言えば、蘇った男と双子の娘達は炎の中笑い目を閉じた。
男たちを蘇らした女は既に口から血を流し、二度と動くことは無かった。
「はあ、魔女の家系である以上魔法が使えなければおかしいということで、私たちの力を分け与えてはいたけれどまさかこんな結末になろうとは」
魔女が指をひと振りすれば、女も、炎に巻かれて焦げた死体も、部屋も綺麗さっぱり無くなっていた。
「ま、もう昔ほど魔女を悪く言う者もいなくなったし、錬金術なら魔女たる私だって出来るもの、そろそろこの家に正しき者が戻ってもいいでしょう…ね?そう思うでしょあなた達も」
魔女が問いかければそれに答えるように家が音を立てる。
ここは魔女の家、レディクローリアが子孫達のために遺した魔法の家。
ーーーまあ、そんな感じで正しき血筋の者が戻ったそう。
数代前まではレディクローリアの血を引いてない人が、レディクローリアの血を引くものを隠すためのデコイとして、当主の座についていたけれど罪を犯してしまったから、消されて、レディクローリアの直系の魔女が帰ってきて今に至るってことです。
ママはレディクローリアの特徴が見た目には無いけど確かに、レディクローリアの血を引いてますよ。
なんで分かるか?って言われても…
だってそうじゃなきゃ当主になんてなれないもの、またレディクローリアの血を引かない者が当主になったらこの家に拒絶される、でもママは拒絶されてないし私達もされてない…なら答えは簡単でしょう。
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あらあら、どうしたのかしら?
レディクローリアについて聞きたいのね?いいわよ、ママが教えてあげましょうね。
レディクローリアはブルーグレーの髪とヘテロクロミア…オッドアイの持ち主なのよ。
レディクローリアの死後、何代か1回ブルーグレーの髪とオッドアイの目を持つ子が産まれるのだけれど、その子たちは先祖返りと呼ばれていて強い力を持つわ。
…ええ、そうねライちゃんも先祖返りよ。
でも私はあの子をこの家に縛る気は無いし、お姉ちゃんがライちゃんがイヤって言ったら私が次の当主になるわ!って言ってくれてるしね、当然ライちゃんが当主になるって言うなら次の当主はライちゃんにするけれどもね。
でも、まずはライちゃんがボーイフレンドを連れてくるのが先ね!
当主になる以上その先に子を残さなければいけないもの!