初めて長く赤い髪がゆるりと垂れ下がっている。
彼の頬をくすぐるにはまだ距離があった。
ポルナレフは目の前の男の表情を読み取ろうと集中した。
消して豪華な訳では無いが、教育の行き届いた従業員達の手によって美しく輝くように白くパリッと糊付けが施されたベッドの完璧なシーツは2人分の男たちの体重を受け止め、可哀相にくしゃくしゃによれてしまっている。背中をべったりとシーツに沈めた男の太い手首は別の手によって更に上から押さえつけられていた。服に覆われてない素肌にはコットンのザラついた繊維質を感じる。倒れた瞬間マットレスの内部のバネがギィと声を上げて突然の攻撃に反発した。最初にシーツに触れた時は無機物らしくひやりとしたのに今ではポルナレフの熱がじわりと染みて本来の機能の通り、彼の熱を逃がさぬよう温かく包んでくれた。
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