前夜祭【オル相】「いよいよ明日だね」
「そうですね」
「……睡眠不足はお肌に悪いぜ。そろそろ寝た方がいいんじゃないかな」
「そんなにベッドに誘ってどうするんです。しませんよ。明日何の日だと思ってるんです」
そこまで言ったところで、八木俊典は風呂上がりのドライヤーで乾かした髪をふわりと風を含んで振り乱し(正確には風に踊ったのはトレードマークの二房の前髪だけだけれど)顔を赤らめて目をギュッと細めた。いじけや不満を連想させる表情に相澤は椅子から立ち上がり息を吐く。
腹の中で食べ過ぎた夕食が存在感を放っていた。
「そうだよ。明日はいよいよ私達の結婚式なんだからベストコンディションで望まなきゃいけない。今夜衝動に任せて君を抱いて明日君が歩けないなんてことになったら大変だしね」
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