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    kk14ac

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    ラージャハを発つ日の朝

    ##ジネ・マニング
    ##SS
    ##その旅路の終わる頃に
    ##砂上に芽吹くは
    ##この旅路の行く先に

    「お師匠」

    月の瞳が私を見る。

    「お師匠はどこから来たんですか?」

    生き物が寝静まった頃、膝の上に広げた地図を見て、ふと尋ねる。ランタンの灯が揺れている。

    「この中にありますか?」

    この森が位置する箇所、らしい印を指でなぞる。お師匠が隣に腰掛けて答えてくれた。羊皮紙を眺める横顔を盗み見ていた。

    「いや、この地図にはないね。…僕の生まれはもっと北にある」
    「とおい、ですか」
    「遠いね。名前もない土地だよ。…生まれ故郷ではあるけど、過ごした年月は旅をしている年月の方がずっと長い」

    ゆらり、ゆらり。揺れ動く影が一瞬あのひとを覆う。

    「…いつか、連れてってくれますか」
    「知りたい、です。お師匠が過ごしたところ。お師匠が歩いたところ」

    あの人が瞬きをする。目線が合う。そっと微笑むその瞳に、心がきゅっとする。

    「…そうだね。いつか」
    「君が大人になった頃に」

    ─目が覚める。
    むかしの、出来事を夢に見た。

    帝国を発つ日。今日私たちは”列車”という乗り物で北へ向かうらしい。夢を見たのも、きっとそのせい。
    ブルライト地方を出る。ずっと遠い所へ行く。なんだか今も夢の中にいるような、そんな感じがする。余りにも距離があって、想像がつかない。お師匠はそれだけの距離を、自分の足で渡ってきたのだろうか。
    …あんまりにも寒かったらどうしよう。そんなことをぼんやり思いながら、身を起こした。
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