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    鯨屋しき

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    鯨屋しき

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    『海』と『地』は7:3。

    ポイント・ネモ私という平坦で在り来りな世界にキラキラと太陽が輝き青く揺らめく大きな海を創ってくれたのは七海さんだった。砂利だらけだった私の世界に寄り添ってくれた七海さんは雨を振らせ、緑を育み、知らない世界をたくさん見せてくれた。名前も知らない道端の花でも彼の隣で見られるならどんな大輪の花々よりずっと美しかった。私の中では七海さんが創ってくれた海はすっかり私の7割ほどをを占めていて、私の作ってきた大地なんてたったの3割程度。私なんかじゃ比べ物にならないほど七海さんはずっと大きくて、ずっとずっとなくてはならない存在。もう彼のいない世界になんて戻れない。彼の腕の中の特等席で太陽に輝く海をずっと見ていたい。

    そう思ってた。

    痛みと悲しみで埋め尽くされた世界で目覚めてみれば、私の海はどす黒く濁って荒れ狂い、私の好きだった景色を飲み込んでいた。ずっと一緒にいたいと願った彼は跡形もなく消え去って私の隣にはいなかった。すっかり荒れた砂利道を辿ってみても七海さんの姿は見えなかった。七海さんがいなくなってしまうからすっかり私の世界はこんなにも荒れてしまった。あんなに綺麗だった青も緑も全部色をなくしてしまった。

    一体どこに行ってしまったのだろう。

    この大地のどこにもいないなら、きっと広い海の果てに旅に出ているに違いない。

    陸地から最も遠い場所。
    48°52.6′S 123°23.6′W

    きっとあなたはそこにいるのでしょう?
    静かで穏やかな星屑の墓場に。
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