病院は嫌いだ。
キツい消毒液の匂いだとか、歩くとキュッキュッって鳴る床だとか。あと、やけに廊下が薄暗い時もあるし出来るだけ静かにしていなきゃいけないところも。病気じゃないならなるべく行きたくねぇなと思っている。
それでもわざわざこうして来ているのは朝陽から様子見てきて〜と頼まれたからで、教えて貰った病室のプレートを確認する。綺麗な字で書いてあったし間違いない。
あ、とりあえずノックしとくか。回数の決まりなんて分からないからここは適当だ。
「よぉ樹」
「……いらっしゃい」
ガラガラと引き戸を開けると夕日が少し差し込んできてベッドから静かにしろと言いたげな視線と声が飛んでくる。
「これ朝陽から荷物な」
「……ありがとうございます」
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