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    oicsuck

    @oicsuck

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    oicsuck

    DOODLE現パロ🇹🇼旅行話筋。ただただ電話で喋ってるだけのあほ話です。
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    たんと軽い音がして、背筋からお腹まで細く一直線に衝撃が走る。型抜きでもしたかのように正確に、ひとつ小さな穴が胴体にあいて、身体の熱を根こそぎ奪うように急速に熱を持ち、拍動は全身に響く。まずいと思って傷口をあらためると、みるみるうちに穴はみぞおちから臍まで届く程に拡がっていった。困った事に、中はすっかり空洞であった。砕けていようはずの背骨の欠片すらも見付からなかった。血の一滴も落とさず現実味なく拡がりゆく穴を為す術なく眺めて、このままいくと身体がふたつに分かれてしまうなと他人事のような考えが頭を掠めたところで、ようやく目が覚めた。
    酷い寝汗をかいていて、枕もシーツも少し湿っていた。歯を食いしばっていたのか、顎関節は怠さを伴う鈍痛を訴え、左右両方の前腕も何だか痺れていた。時刻は午前一時を少し過ぎたところで、ジェクトは押し寄せる現実に流されるように、先程まで見ていた夢の記憶を喪っていった。発熱を疑い念の為体温も測ったが、三十六度五分と極めて健康的な値が五秒と待たずに叩き出され、若干バカバカしくなりジェクトはもう一度ベッドに寝転がって携帯電話のディスプレイを眺めた。今ならまだ、起きているかもしれない。十秒くらい迷った後、出なかったらメッセージで「何でもない」と入れておこうと思って、恋人の番号にコールした。
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