8月2日 そういえば、久しく入道雲を見ていない。
昨日、四季さんと隼人さんが、「消えた日本語」という話題で盛り上がっていた。曰く、「午前中の涼しいうちに」と「夕立ち」という言葉らしかった。どちらも夏の季語だろうに、今の異常気象じゃ、言葉も溶けて消えていくのか。
「あちぃ」
「言ってると余計暑くなるぞ」
蝉がジージー鳴いているなか、俺の住むワンルームは外気と冷気の狭間で揺らいでいた。いつもより低い温度にしているのに、じっとりと汗をかいてしまうのは何故だろう。陽炎で窓の外がうねって見える。フライパンを出したら、何もせずに目玉焼きが焼けてしまうんじゃないかと思った。味付けは塩コショウでいいかな、なんてことを考えながら、俺は読んでいた台本をぱたりと閉じた。今日は集中力が続かない。アイツの方に目線を投げると、がつがつとハンバーガーに食らいついていた。
1966