許されるようなそんな気がしてびりびりと痺れた腕が真っ赤になって、変色していく。
頭がぼやけて、雲の上に乗っている心地がする。
そんな時、ドアの開閉音が鳴った。ガチャっと静かでも、かといってうるさくもない音が響く。
誰、かなんて考えることもない。この家の住人はぼくとさざなみだけなのだから。
「HiMERU」
「……なんですか」
呼ばれた。
さざなみがぼくの名前を呼ぶ。
だからひと呼吸置いて、なんでもない顔をして口を開く。
「…………」
なのに、さざなみは黙ってしまった。何かを言いたげにしたかと思えば、特に声になることなく飲み込まれていく。
呼んだくせに何も喋らない。
「さざなみ」
「なんだよ」
「言いたいことがあるならはっきり言うといいのです」
「まぁ……それはそうだけど」
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