植物標本とハーバリウムに勤しむジェイ監 白く空を覆う曇の隙間から、時折太陽が顔を覗かせる。
昨日は気温が高かったが、今日は少し冷えているようだ。細雪はキラキラと光を反射しながら真っ直ぐ地面を目指している。
ここ最近降り積もった雪がくたりと滑らかに溶けた姿のまま冷えて、革靴で踏めば氷の粒を孕んだそれがさくと小気味いい音を立てた。冬靴ではないので滑りそうなものだが、制服姿のジェイドは乾いた地面の時と同じ速度でオンボロ寮へと向かっていた。
二週間ほど前、ジェイドはウィンターホリデーで帰省する寮生をアズールやフロイドと見送った際、見送りチェックに駆り出されていた監督生と少しだけ話をした。
「監督生さん、ホリデー中はなにを?」
「ほとんどが課題や大掃除とかですねぇ。模様替えしたいし、なにかおしゃれなインテリアでも買いに行きたいです」
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