物心ついた頃から独りだった。
その孤独が誰でもない自分のせいだと理解したのは、いつだっただろうか。
「みんな平等に初めての瞬間があるものよ」
そう母に言われ、自分なりに努力したつもりだった。
けれど、俺の一族が使うことのできる、変化の術が身に付くことはなかった。
「どうしてあれは皆と同じようにできないんだ」
「私の教え方がいけなかったのかしら…」
「このまま術が使えないなら、この集落には置いておけないぞ」
「そんな…あの子はどうなるの」
「…そうだ、あの鬼のところはどうだ」
「あぁ、あの…。そろそろ贄を探す頃か?ちょうどいいじゃないか」
「あなた…!自分の子になんてことを考えてるの⁉」
「術の使えない者は必要ないんだ。分かってるだろう」
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