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    スノーor八雲銀華

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    大変長らくお待たせいたしました
    ミスターウィングの過去編です
    文章スキルが皆無な中書いたため、稚拙かつ変な文章が紛れています
    投稿頻度は亀より遅いですがよろしくお願いします

    ミスターウィング過去編 プロローグ&第1話ある少女は好奇心を抑えられなかった



    抑えられず、開いてしまった



    開けてはいけない禁断の書を


















    "天上の月水面照らす その姿は万華鏡
         どうかその光で 私を解いてくれ"



    「……さて、歌はここまでにしておくか。」

    浅緑色の髪にパライバトルマリンのような青緑色の服を着た少年ミスターウィングはそう言って先程まで寄りかかっていた大木から離れ自宅へと戻る。
    その道中、何者かが話しかけてきた。

    「ミスターウィング。今、風詠島(かぜよみじま)の偵察から戻ってきたぞ。」

    その人物は行商人のような姿をした男だ。

    「あ、おじさん!どうだったんだ」
    「それがな、島に上陸出来なかったんだよ。」
    「なんだと?見張りが大勢いたのか?」
    「それすらも分からない。島の周囲に激しい気流が流れていてな。目を凝らしても見ることが出来なかったんだ。」
    「そんなに激しかったのか?」
    「ああ。エリトラや他の移動手段も使ったが、気流の中に入ることさえままならなかった。」
    「そうか…。」

    それを聞きウィングは俯く。その様子を見た行商人はウィングの肩を優しくたたいた。

    「大丈夫だって。両親は生きてるんだ。信じて手がかりを探していこうじゃないか」
    「信じて…か。…ありがとう、おじさん。危険な所に行きたくないのにこんなこと頼んでしまって。」
    「いいっていいって。むしろお前のおかげであの島が大変な状況にあるって知ることが出来た。やれることは少ないけどよ、またなんかあったら俺を頼ってくれや。」

    そのあと、ある程度会話をして行商人の男と別れた。
    自宅までは曲がり角を1つ曲がればすぐそこという所に来た時、少し強い風が吹く。
    その風に紛れ、ウィングは1人呟く。

    「お父さん、お母さん、カゼガミ様。……早く会いたい。」

    その言葉は誰かに聞かれることもなく、少し流れた涙と共に夜の闇へ消えていった。



    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

    第1話  羽無しの少年



    風詠島(かぜよみじま)。その他の大陸を避けるかのようにぽつんとある孤島。その島で一番大きな山に登って水平線を見ても陸が見えないほど他の大陸から離れている。
    自然は豊かで様々な種類の動物が生き、作物が実っている。
    そしてその島にはある一族が住んでいる。それがカゼヨミ一族だ。

    カゼヨミ一族。それはある1人の人間によって誕生してしまった存在。その一族の長として、カゼガミ様という存在がいる。
    風詠島から出ることはカゼガミ様から許可が出ない限り禁じられており、その掟を破った者は地下に閉じ込められる。
    一族最大の特徴は背中から羽を生やして飛ぶことが出来ることだ。早くて3歳、遅くても6歳になる前に背中に羽が生えて飛べるようになる。
    一族が出来たばかりの頃はカゼガミ様とその子供達にしか羽が無かった。しかし月日が流れその子供達は大人になって子を産み羽がある者達は増えていき、そして現在ではまだ羽の生える年ではない幼子以外の一族の者は誰もが背に羽を持ち飛ぶことが出来るようになっていた。
    ある1人の少年を除いて……。

    …これから話すのは、ミスターウィングがすまないスクール周辺の地に来る前の話。





    数年前…


    「おいミスターウィング。ちょっとここから飛び降りてみろよ。」
    「む、無理だよ。こんな高いところ、飛び降りたら怪我しちゃう。」
    「何言ってんだ、たった4mしかないぞ。俺達みたいな子供でも、羽を出して落ちる速さを遅くすれば無傷だぜ。」

    それを聞きミスターウィングは「それでも無理」と言わんばかりに飛べと言った張本人であるオレンジ色の髪の少年__トゥールに対して首を横にふる。
    ミスターウィングはカゼヨミ一族の出身。しかし彼にはこの時からある悩みがあった。
    それは、8歳になっても羽が生えてこないことだ。
    あまりにも遅い子でも6歳になる前には必ず羽が生えてきていた。
    しかし、何故かウィングだけは羽が生えずに6歳を超えてしまったのだ。
    生えてくる年は人によって異なるためからかうことは無かったが、8歳になっても生えてこないならば話は何故だろうか変わってしまう。
    一族の者ではないのではと疑われたり出来損ないと罵られたり散々だ。
    それだけでもかなり酷いのだが…。

    「ほらさっさと飛び降りろ!」

    しびれを切らしたトゥールがウィングの背中を足で蹴る。
    それによりウィングはバランスを崩して転落し、地面に叩きつけられる。
    幸い大きな怪我は無く腕を擦りむいただけで済んだが、もし落ち方が悪かったらと考えると恐ろしい。
    ゆっくり立ち上がった直後、トゥールが白い羽をはためかせウィングの目の前に着地した。

    「やっぱりお前羽出せないんだな。突然落ちたら出るかと思ったんだけどな。」
    「だ、だからって突き落とさないでよ!すごく痛かっ……」
    「おい、わざわざ羽を出す手助けをしてやってるのにそれはないんじゃねえか?」

    トゥールはウィングの胸ぐらを掴む。

    「俺がお前みたいな貧相な奴に付き合ってる理由を知らねえで口答えするんじゃねえ!」

    そう言って突き飛ばし、すたすたと何処かへ行ってしまった。
    トゥールは風詠島で一番のお金持ちの息子。逆らう事は殆ど出来ず、目をつけられたら大体の人は大変な目に遭うのだ。
    後ろからヒソヒソと声が聞こえる。振り返ってみると少し離れた所で女の人達が会話している。
    小声で話しているつもりなのだろうが、かなりハッキリと聞こえる。

    「あの子またいじめられてるよ。」
    「でも無理もないわよね、羽無しだもの。」
    「そうだよね。8歳になっても羽無しなのは流石に…ね。」

    その会話の途中でウィングは自宅まで走っていった。最後まで聞きたくなかった。
    どうして自分には羽が出てこないんだ。
    そう思いながら。



    家に戻る頃には日の入り前になっていた。

    「おかえりなさい、ウィング。…って腕どうしたの」

    帰ってきて早々、驚かれる。驚いたのはミスターウィングの母親だ。

    「ちょっと擦りむいたんだ。」
    「…。もしかしてまたトゥールくんにいじめられたの?」

    そう聞かれて俯く。嘘を言うか悩んだがここで嘘を言うのも…。
    そう思い無言で頷いた。
    彼女は「おいで」と手招きをする。そして近くの棚から消毒液の入った小さな瓶とガーゼ、少し大きめの絆創膏を出した。

    「そのままだと傷にバイ菌が入っちゃうわよ。手当てしてあげるから。」
    「わ、わかった。」

    手当ての間はあまり会話をしなかった。一応会話はあったが消毒液がしみるかしみないかという話だった。
    手当てが終わったあと、彼女は何かを思い出したかのようにハッとしたような表情をした。

    「そうだわ。ウィングが帰ってきたら伝えようと思ってたことがあったのよ。」
    「何かあったの?」
    「明日久しぶりに行商人さんが来るの。前にサイダーをくれた人なんだけれど、覚えてるかしら?」
    「えあのおじさんがまた来てくれるの?」

    ウィングはとても嬉しそうな声で聞く。
    その行商人はその島に複数訪れる行商人の中で唯一、羽の有無に関わらずウィングに分け隔てなく接してくれた人だ。

    「また色々お話出来るかな。すごく楽しみ!」
    「ウィングは本当にあの行商人さんが好きなのね。」
    「うん!だってすごく優しいし色んなことをおしえてくれるんだもん!」

    家族と話しているこの時間、ウィングはこの時間がすごく好きだった。
    その間はいじめの出来事を忘れられるし明日が来るのが早く思えるからだ。
    その日ウィングは食事を済ませた後、寝る支度をするべくすぐに部屋へ戻った。



    ミスターウィングが眠った後……

    「ただいま~。」
    「あらおかえり。今日はかなり遅かったわね。」
    「他にも作業してたからね。」

    帰ってきたのはミスターウィングの父親だ。彼は鉱石の鑑定をし、島にやって来た行商人に受け渡す仕事をしている。鉱石の採掘もするのだが彼は体が弱いため数個が限界のようだ。

    「作業…。採掘もしてきたの?」
    「うん。少しでも体力をつけたいからね。すぐにバテちゃうのはやっぱりウィングにも申し訳無いからさ。」

    彼はそう言い笑う。しかし微笑んでも疲れている様子というのは消えない。

    「あまり無理しないでね。」
    「大丈夫だよ。これでも君と結婚する前より体力は上がっているほうだから。」


    ………


    「さて、そろそろ僕は寝るよ。明日は行商人が来るんでしょ?遅刻したら大変だね。」

    おやすみ~と行って彼は自室に入っていった。
    少し経ってから彼女は外を眺める。小さな窓から見える外の明かりは松明だけだ。空にはたくさんの星が浮かんでいた。
    まるで、どこかのお伽噺のように。



    to be continued…
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