ロマンスなんて似合わない「カドック! ご飯食べよ」
ノックの返事も待たずに部屋に飛び込んでくる悪癖は、何度注意しても直らないからとうに諦めた。
レポートに集中して気付かなかったが、いつの間にか夕飯時になっていた。こうして彼が声をかけなければカドックは夕飯時を逃していただろう。逃したとしても後でインスタントでも食べれば事足りるのだが、そう言うと目に見えて肩を落とされたので仕方なく付き合っている。
「ああ、今行く」
返事をして端末をスリープした。
カルデアの廊下を並んで歩く。藤丸は食堂までの道すがらも黙っていない。一度は殺し合った仲だなんて忘れているかのように、今日あった話や疑問に思ったことをあれこれと話しかけてくる。十代後半の青年に使う比喩として適切かは分からないが、よく懐いた仔犬のようだ。
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