36℃に君が触れればびゅう、と寒風が頬を不躾に撫でていきKKは寒さに顔を顰めた。
「あー…クソ寒ぃなちくしょうめ。なんだって寒波なんか来てんだ、こちとら夜通し化け物退治だぞふざけんな」
そんな文句を垂れつつタクティカルジャケットのファスナーを上げて中に着込んでいたネックウォーマーを顎まで上げる。ここまで寒いとは思わなくて貼るカイロをもう一枚貼れば良かったと後悔すらした。
過信していたのだ、自分を。暁人が同じくらいの防寒をしていたからこんなもんでいいだろうと踏んでいたら知らぬ間に自分はめっきり寒さには弱くなったようだ。
──歳は取りたくねぇなぁ。
心の中でそうボヤきつつ、多少は風を凌げるビルの軒下でKKは煙草を口に咥えながらただひたすらに暁人を待っていた。
2014