付き合ってない蔵種とモブ(中1)次の週末は雨だった。
俺はそもそも、植物園になんて行きたくなかったから、いい口実が出来てかえってラッキーだった。白星は、雨の植物園もいい雰囲気だとか、食い下がっていたけど。さすがに面倒だから諦めてもらった。
待ち合わせ場所は駅の構内の、適当なオブジェの前にした。約束の時間の15分前に、もう到着したと、白星から連絡が来た。俺は5分前に到着するつもりだったから、少し待たせることになる。
駅に着いたらオブジェから少し離れた場所で、白星の姿を探した。会う前にどんな相手かを観察するのは、マチアプの鉄則だ。
「……っ」
居た。色素の薄い髪に、あの高身長。そわそわしながら、オブジェの前に立っている。こっちからは後ろ姿しか見えないが、目印にと、デカい耳を持っている(何でデカい耳を目印にしているのかは、全く分からない)。間違いない、白星だ。
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