まさかのクロディ1話目 山を切り崩して築かれた鉱山の町に吹き込んだ風が砂埃を舞い上げた。反射的に目を閉じたが、僅かに砂の粒が入った視界が涙で滲む。ごろごろといつまで経っても違和感の拭えない眼球を持て余しながら、クロードはせめて人々の往来の邪魔にならないように道の端に避けた。
岩肌に背中を預けて仰ぎ見る岸壁に囲まれた空は狭い。赤茶けた岩とのコントラストで青さが際立つ。上空でも強い風が吹いているらしい。蠢く雲は何かの生き物のように忙しなく蠢いている。
前線基地への襲撃が途切れた合間を縫って、クロード達はクロス大陸に戻って来ていた。ディアスと行動を共にするようになってすぐのことだ。提案したのはレナだった。一度ディアスと共に故郷へ帰りたい、と彼女がクロードに耳打ちをして、急ぎアーリアへと向かった。
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