構ってほしいの雑務に飽きて、気紛れにそいつの脇腹を突いて背中をなぞった。微動だにせず隣に佇む従者に、彼はむう、と口をへの字に曲げた。
「つまらん」
背凭れに体重を預けて従者を見上げる。視線だけをこちらにやった従者は、当然です、と嘆息した。
「少しはつきあえ」
そう拗ねてみたものの、それくらいで折れるようなやつではない。なにせ、私の自慢の従者だ。簡単に落とせるはずがないのだ。だからこそ落とし甲斐があると言うもの。見ておれテランス……私の魅力で必ずやお前をその気にさせてみせる!と手を握りしめ、改めて自慢の従者の背中をなぞった。
そっと産まれたての竜に触れるように優しく、ゆっくりと指先を当てる。つう、と背の溝を滑り降りて、ベルトを爪で掻き、裾を引く。
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