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    vr2022_edit

    ヴ二次壁打ち用。序盤はリボ様のよき力だとか対閃光防御で爆笑してたのに、終盤が刺さりすぎて今更沼に落ちた。遊作(プレメ)とAi推し。
    救いを求めて二次とか動画とかを彷徨ってるけど基本終盤の曇ってる二人が好き。

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    vr2022_edit

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    一期軸Ifもの。Aiちゃんを敵に奪われて苦戦するプレメのワンシーンSS。
    デュエルは超テキトー。

    Aiちゃんを敵に奪われて苦戦するプレメ「ぐうっ…!」

     モンスターのダイレクトアタックを食らい、プレイメイカーはDボードの上でよろめいた。
    自軍のモンスターを敵に奪われ、自分フィールドはがら空き状態。
    並のデュエリストならば動揺する状況だろうが、彼にとってはそんな事は問題ではなかった。
    これ位の窮地、今までに何度も潜り抜けてきたのだ。幸い手札は潤沢、対抗手段も幾通りも組み立てられる。
    だが。
    プレイメイカーは視線を自分の左腕、装着しているカード収納型の旧式デュエルディスクに視線を走らせ、そして、一度頭を振るってから敵として立ち塞がるハノイの騎士をにらみ据えた。

    「はっ! 良いザマだなプレイメイカー。私はこれでターンエンド」

    今一番の問題、それは――。

    『プレイメイカーの残存LP、残り1600。当方の勝率72%に上昇』

    その聞き覚えのある、けれど圧倒的に感情の抜け落ちた機械的な声は、ハノイの騎士の左腕から聞こえてきていた。
    構えられた新型デュエルディスクの液晶から、小さな人影が覗いている。
    紫のラインに彩られた闇色の細長い体に、皓々と光る黄金の丸い瞳。
    少し前まで確かに自分の左腕のディスクに居た筈の人質が敵の手中にある姿に、プレイメイカーは我知らず奥歯を噛み締めた。




    油断をしていた、と言えばそうなのだろう。
    忙しさにかまけてデュエルディスクにかけてあるロックプログラムのアップデートを怠り、同じ状態で何度もハノイの騎士と戦ってしまった事。情報解析の隙を許し、そして、ハノイのチートじみた得体の知れないスキルで、デュエルサポートプログラムの強制入れ替え――つまり、Aiを奪われてしまった事。

    『な~んか嫌な予感すんだよな~。なあ、プレイメイカー様よ。今日はこの辺でもうやめとこうぜ~。ほらほら、草薙だって帰ってこいって思ってるって。絶対!』
    「黙れ」

    つい先刻のAiとのやりとりを思い出す。
    予感、などと不確かな事を言っていたが、きっとAiには様々な要因による自己周辺のセキュリティレベルの低下を弾きだしていたのだろう。
    ロスト事件の悪夢に苛まれ、ただ気ばかりが急いて、連戦につぐ連戦。何かとこちらを案ずるAiの言葉も切り捨てて突き進んだ結果がこれだ。
    苦い後悔が胸に落ちるが、それに浸っている暇はない。

    「……俺は、守備モンスターをセット。さらにカードを二枚伏せてターンエンドだ」
    「手も足も出ないようだな。ならばこちらのターン!いかせて貰うぞ!」

    ハノイの騎士はドローの後即座に自陣にモンスターを展開し、エース級を呼び出してくる。
    攻撃が来るかと身構えたプレイメイカーの耳に、聞き慣れた声音が無機質な言葉を響かせた。
    『警戒。プレイメイカーの伏せカードがカウンター罠である確率75%。先に伏せた方がブラフの魔法カードである可能性80%』
    「なるほど……ならばモンスター効果!右の伏せカードを選択、破壊だ!」
    「くっ!」
    プレイメイカーのデッキとそしてプレイングの傾向まで把握したAIによる高度な演算処理は正鵠を射ていた。
    起死回生の布石であったトラップカードがバラバラになりエフェクトが弾け飛ぶ。
    「危ない危ない……これで心置きなくバトルフェイズに入れる。まずは守備モンスターを攻撃!」
    自軍モンスターが破壊され、盾が無くなったプレイメイカーを見て、ハノイの騎士は勝利を確信したのか嘲笑を浮かべた。
    「これで終わりだ!モンスターでダイレクトアタック!」

    「まだだ!伏せカードオープン!受けるダメージを半分にっ……ぐあああっ!!」
    モンスターの攻撃がプレイメイカーのアバターを直撃した。
    カード効果でダメージを半減したとはいえ、敵エースの上級モンスターの攻撃である。先程よりも大きな衝撃に思わず膝を付く。
    LPが一気にに四桁を切り、視界に赤いアラートが表示された。
    「ほう、凌いだか。さすがにしぶといな」
    痛みに耐えながら、嘲る声がする方を振り仰ぐ。
    自分のデュエルディスクに居た時は常に忙しなく動いていた筈の小さなAIは、今は敵の左腕で、不気味なほどに静かに佇んでいた。
    「……Ai」
    思わず、自分でつけた名を呟く。
    普段は本当にAIなのかと疑う程に感情豊かに変化する瞳も、今はだたの丸い光に過ぎず、何の意志も表してはいない。
    その事が、なぜか今この追い詰められたデュエルの状況よりも神経を苛立たせる。

    「ふん、ポンコツAIかと思っていたが、意外とコイツは役に立つな」

    ハノイの騎士は小さなイグニスを見下ろすと、おもむろにその体を乱暴に鷲づかみにし、口の端を吊り上げた。

    「このまま消すのは勿体ない。生意気な人格データだけ初期化しサポートAIとして組み込んでくれるよう、上層部にかけあってみるか」
    「!」

    普段のAiならばそんな扱いをされれば悲鳴じみた大声をあげ、大きな身振りで怒りを表現した筈だが、今は無抵抗でされるがままだった。
    ただ痛みは感じるのか、金色の瞳が苦しげに二三度明滅し、ハノイの騎士の手の中で小さな体が僅かに身じろぎする。
    その光景に、訳の分からない衝動が込み上げた。

    触るな、そいつは俺の

    思わず叫びそうになり、言いかけた言葉に自分で愕然とする。

    そいつは俺の? 一体何だというんだ。
    あいつとの間には何もない。友情も信頼も、何も。ただお互い利害が一致し一次的に利用しあっているだけだ。
    相棒などとは到底呼べない関係。
    そのはずなのに。

    『遊作』

    あの、人を揶揄うような小うるさい声が聞こえない。あの瞳が自分を映さない。それだけで。
    どうしてこんなに心が乱されるのか。

    「……るな」
    「何?」
    「……俺の人質に、手荒な真似をするな」

    息を整え、Dボードの上に立ち上がりながら、勤めて冷静に言葉を紡ぐ。

    「何だと?」
    「まだ勝負は終わってない。俺を倒すまで、そのAIはお前のモノなんかじゃないと言ってるんだ。気安く触れるな」

    プログラムのプライオリティはスキルよりもアンティルールの方が上だ。今Aiの自我が封じられ敵に奪われているのも、いわば以前の天火の牢獄による影響のように、デュエル中のみ発揮される一次的な効果でしかない。
    アンティによるAIの所有権の移動は勝敗決定後に施行されるシステム。
    ならば、まだ、Aiとの繋がりは残されている。

    「ふん、その状態でよく吼えるな。貴様のライフは風前の灯火。頼みのトラップも破壊され、貴様のデッキを知り尽くしたAIはこちらの手の内。スキルのストームアクセスにも頼れない今、何ができるというのだ?」
    ハノイの騎士は歪んだ笑みを浮かべ、大声で嘲りの台詞を吐いた
    「貴様は負けるんだよ、プレイメイカー!自身がかくまったAIに裏切られ、無様に散るんだ!」

    「言いたい事はそれだけか――俺は、相手が誰だろうが負けるつもりはない」

    そうだ。あいつが自分にとって何なのか、そんな事はどうだっていい。
    自分の復讐を遂げるために必要な人質。だから取り返す。それだけだ。
    ――今は、ただそれだけでいい。

    「俺のターン! ドロー!」

    奪われたものは、全て奪い返す、必ず。
    絶対に勝利を掴むと強い決意を込め、少年は宣言と共にカードの剣を引き抜いた。
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    iria

    DONE週ライお題 「乱反射」「制汗剤」をお借りした小説
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     他県の海水浴場に設置された海上アスレチックに向かうため、二人して始発の電車に乗り込んだ。最寄駅からロケ地までは片道四、五時間かかる。海上アスレチックを体当たりでレポートするロケは、関西でのみ放送されるローカル局の深夜番組内で放送される予定だ。駆け出しの若手芸人に送迎などは勿論なく、今回はマネージャーも別件のため同行しない。交通費だって自腹だ。出演料と比べると決してプラスにはならない。むしろマイナスだ。それでもテレビ出演に変わりはない。小さな深夜帯のローカル番組でも、たった数分のワンコーナーでも、電波に乗って放送される。今回の仕事が次の何かに繋がるかどうか、自分たちにかかっている。そう考えるほど、また緊張感がぶり返してきた。気持ちを落ち着かせるために深く息を吸うと、盧笙の匂いがふわりと混ざった、電車の心地よい揺れに、いつの間にか眠ってしまった相方をじっと見つめる。眼鏡のレンズの奥に、長いまつ毛が朝日でキラキラと光る。先程の緊張とは違う意味合いの鼓動がドキリと混ざった。すぐに気づかないフリをし、手元の進行台本に目を落とす。
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