あとは飛び立つのを待つばかりとなった船内で、小南が不機嫌そうにぼやいた。
「アイツ、結局あたしが一位になるのを阻止しに来なかった。ムカつくわ」
偶然にも、迅がたった今思い浮かべていたのと同じ人物を思い出していたらしい。
小南は今回の遠征から戻ると同時に、ノーマルトリガーとは規格の違うカスタムトリガーに変更申請する。そうなるとS級になった迅同様ランク戦には出られなくなるため、ここ最近は最後のやり込みとばかりにランク戦でポイントを稼ぎまくっていた。
少し前に風間のポイントを既に抜かしており、ここしばらくはひたすら一位の太刀川との距離を詰め、出発ギリギリでとうとう太刀川を追い越し今日の日を迎えた。
追い越せたのは、小南が追い上げているあいだ太刀川が全くランク戦に顔を出さなかったためでもある。
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