スワイヤーはポーチから小瓶を取り出す。
蓋を開けると、ブラシの先は淡い色を帯びた液体に包まれていた。彼女は膝を抱え、自身の爪先へブラシを向ける。
「~♪」
鼻歌と共に、彼女の爪が染まっていく。それはご機嫌な曲調にぴったりで、彼女の存在を瞬く間に華やかなものにしていったのだった。
「できた!」
スワイヤー最後にそう宣言して、蓋を閉めた。
「ほらどう? 綺麗でしょ?」
そのまま彼女はベッドの上でくるりと向きを変え、隣に座る人物に脚先を伸ばす。
「あ、ああ、綺麗だ」
ところが感想を求められたチェンの歯切れは悪い。彼女は曖昧な曖昧な返事をすると、気まずそうに視線を逸らしたのだ。
「なぁに? その適当な返事は?」
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