きらきらな傷「白の丘、異常無し」
「だね」
気持ちいい天気だ、と浮奇は言って、草花が生い茂る地面の上に寝転がった。夜明けの色をしたひとみに昼の空が写って、あおくきらめく。
「……一応巡回中だぞ」
「えへ。わかってるよ」
あんまりにも緊張感に欠けた言動を形式だけで咎めれば、浮奇は笑って、傍らに放った剣の鞘をとんとんと指先で叩いてみせる。
「なにかあれば、俺はいつでも戦えるよ」
そう言われればもう、俺の言うことはなにもない。その言葉に嘘がないことなんて、彼と組んでから三百年とすこしの間でいやと言うほど理解させられたので。浮奇は強い。
「ふうふうちゃんも休憩しようよ?」
そうやって見上げてくる顔に俺は弱い。自覚はある。けど自覚があるのと耐性がつくのは全く別の話だ。
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