🍓🍐いちなし 季節は真夏のお盆前。時刻は二十時を差し掛かろうとしていた。陽も十分に陰り灼熱の日中とはうって変わって人々が待ち侘びた涼やかな夜が訪れるという最中、都心の一角のコンビニエンスストアで何やら"冷めやらぬ"事態が発生していた。
店内は帰宅中の社会人数人が惣菜コーナーを物色している程度でそこまでの混み合いはなくまばらであった。昨今の猛暑日が続く日には冷たいものがよく売れる。飲み物コーナーも例外なくその一角にある酒類コーナーでは商品を物色しているワイシャツとスラックス姿の社会人と思わしき男性が二人横並びに立っていた。
一人は成人男性の平均身長からやや低め、細身の男性。髪色は色素の薄いクセっ毛、背中から見える姿勢は猫背気味でそのせいもあり少し小柄に感じられる。
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