熱を喰らわば死ぬまで大好きな場所で歌い踊るのは、スイーツを一口食べた時のように甘い多幸感で満たされる。スポットライトの光が落ちてファンの歓声の中袖に捌けたHiMERUは、動悸が激しく苦しむ胸を落ち着けるように大きく息を吸って、仲間とハイタッチをした。
横に並ぶ者たちが出来て早数ヶ月。ファンも増えライブの回数も増えた今、「Crazy:BのHiMERU」として自分自身でも確かな手応えを感じている。そんな中開催された同期のALKALOIDとの合同ライブは、不安や懸念はあったもののこうして大成功を収めた。
「兄さん!」
「最高だったなァ!」
ステージから楽屋までの間、先に合流した燐音と一彩が何度も肩を叩きあう。他のメンバーも次々挨拶を交わす中、最後に袖に入ったHiMERUは暗がりの中で目の前の背中がくるりとこちらへ翻すのをぼんやりと眺めていた。
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