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    タツト

    TRPG関連のらくがきとか置き場

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    タツト

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    ソロジャーナル「魔女のオシゴト。」で遊んだログ。
    トランプで決まったこと→描写、の順。

    ##ソロジャーナル

    未来を望む少女◆魔女と使い魔の設定

    ・魔女
    特徴:歯が獣じみて鋭い。
    得意とする分野:薬作り

    ・使い魔
    種族:ヘビ
    態度:親愛 あなたに愛情や友情を抱いています。ちょっと気安すぎるのでは?

    ※性別はそれぞれランダムで決定した。


    ・魔女について
    ラミアと人間の混血。男性。歯並びは蛇のように鋭く、舌先は割れている。
    自身の牙に毒があるため、毒の扱いに慣れており、転じて薬作りを得意としている。
    使い魔のヘビのことは敬愛の気持ちを込めて「レディ」と呼んでいる。

    ・ 使い魔について
    魔女(男)に惚れている大蛇。女性。毒がある。でも魔女(男)には効かないし、魔女(男)の毒も使い魔には効かない。
    デカいのでだいたいの小動物は丸吞みできるが、消化するまでポッコリと膨らんでいる腹を魔女(男)に見られるのは恥ずかしい。レディの食事をまじまじと見ないでって言ってるでしょ!
    魔女(男)のことは愛を込めて「貴方」と呼んでいる。



    ◆調達フェイズ

    所持している魔法の材料

    ・何かの心臓、あるいは脳
    ・何かの目玉
    ・伝説の生き物の一部、分泌物など
    ・樹木の枝や芽
    ・髪や爪、少量の血など人間の一部


    ◆来訪フェイズ

    ・依頼人
    形容詞:軽薄な
    年齢:少年・少女

    肩書:書類仕事、役所勤め。
    性別:女性


    「アンタが魔女?……男じゃん」
    その日一人目のお客様は、扉の鈴が鳴り終える前に、ずいぶんなご挨拶を口にした。こちらをジロジロと見る少女の腕には役所勤めの証である腕章がついている。
    「お役所サマは朝がはえぇなァ。こちとらブランチを終えて優雅な一杯を楽しんでいたところなのに……」
    アッサムの香りが満ちた食卓から名残惜しそうに立ち上がり、目に付いた小瓶へ手を伸ばそうとしている少女の元へ歩み寄る。
    「魔女の館は初めてか?命が惜しけりゃ館の主の許可無しに触れない方がいい。死んだ方がマシってくらい後悔するぞ」
    少女の手が触れる前に、小瓶を手に取る。
    「ちなみにこれは出来立てホヤホヤの毒。お前さんならこの瓶半分も要らないだろうな。自分の足でそこの扉をくぐりたいなら、まずはその口を動かすこった」


    ◆依頼フェイズ

    ・依頼内容
    悩み:自分の寿命について。
    適した手法:占い


    少女の顔が陰る。思い詰めていることを言い当てられた、というところだろうか。
    「ま、数ある……いや、ねぇか。この街に数えるほどしかいない魔女の中でも俺を選んだのは見る目がある。こう見えて女性の扱いには定評があってな」
    小瓶をポケットに押し込んで、商売道具で埋め尽くされたカウンターに腰掛ける。
    「ようこそ、蛇の館へ。小さき隣人を歓迎しようじゃないか」
    牙のように鋭い歯を覗かせながら微笑み、こちらへおいでと手招きをする。
    「何か悩みがあるんだろう?小さき隣人殿。魔女の館に自ら足を踏み入れるなんて、前後不覚の酔っ払いか、怖いもの見たさの愚か者か、人には話せぬ悩みを持った隣人か……だいたいこの3つと相場が決まってんだ」
    乱雑に並んだ道具たちから紙とペンを探し当て、自分なりの依頼を聞く姿勢をとるが、少女は俯いたまま動かない。
    「死ぬのが怖いか?」
    小さな体がビクリと跳ねて、より影が濃くなった顔が見えるようになった。どうして知っているのか、そう言いだけな目が真っ直ぐにこちらへ向けられる。
    「言ったろ?女性の扱いには定評があるって。言われずとも察し、求めるものを差し出す。これがイイ男ってやつだ」
    ペンをくるりと回し、口角を上げてニヤリと笑う。

    「役所ってことは……寿命でも知ったか?」
    役所には、この街に住む人間たちの寿命が記された資料……住民票ならぬ寿命表がある。良かれと思ったのか、はたまた魔女特有の悪戯心なのか、そういったものを作った魔女がいる。この街に館を構える魔女は皆知っている噂話だ。
    少女の顔色を見るに、どうも実在するらしい。
    「大人に、なれないって」
    唇を震わせて、蚊の鳴くような声が絞り出される。
    どれほど力のある魔女であっても、見ず知らずの人間の寿命を書き記すことは難しいはずだ。もしかしたらそんな芸当が出来る魔女だっているのかもしれないが、この街にいる魔女たちの中に、そんな魔女はいない。それほどの魔女がいたという話も聞いたことが無い。となれば十中八九当たらない予言だ。
    「それで、お前さんはどうしたい?」
    この小さき隣人が当たらぬ予言を信じていると言うのなら、上書きをしてやればいいだろう。
    「大人になりたい。大人になるまで、生きていたい」
    「オーケイ、承った」
    要件のみを書きなぐり、腰掛けていたカウンターからふわりと降りて、紙とペンを適当に置く。
    「それじゃあ早速始めるとするか」


    ◆解決フェイズ

    ・使用する材料

    何かの目玉
    →未来を見通すために使用

    髪や爪、少量の血など人間の一部
    →対象を”人間”に固定するために使用

    伝説の生き物の一部、分泌物など
    →大蛇の鱗を”命を見る”ための水晶体に加工して使用


    何かの目玉に大蛇の鱗を加工した水晶体を埋め込み、人間の血液を混ぜた溶液の瓶に入れる。少し遠い未来を覗き見ることで、”大人になれない”という寿命表を否定する、という魂胆だ。

    ローブのフードを目深に被り、パチン、と指を鳴らす。
    占いは得意とする分野ではないが、大蛇の鱗を使用しているのでいくらかやりやすい。溶液に浸けた目玉がわずかに動いた。
    「目を閉じて」
    ギュッと閉ざされた少女の目の前に手をかざし、自分も目を閉じる。瞼の裏に、少し未来の光景が映し出された。
    「ほら、お前さんがいる」
    視界はずいぶんとぼやけているが、役所の中をせわしなく動き回る、少女と同じ髪色の女性が見えた。一回りも二回りも大きくなった……大人になった、少女の姿がそこにある。
    その光景はすぐに消えてしまった。未来を映し出した目玉は、崩れかけて瓶の中を濁している。まぁこんなもんかと息を一つ吐き、他の道具たちの影に瓶を隠した。崩れかけの目玉なんて、見る機会は無いに越したことないだろう。
    「今より美人になってたじゃねぇか」
    閉ざされた瞳からこぼれる涙を指先で拭って、ニヤリと笑う。
    これはあくまで占い。数ある未来の可能性の一つを映し出したに過ぎない。寿命表の予言は十中八九当たらないが、万に一つは当たることもあるだろう。未来なんてそんなものだ。なら、少しでも、この隣人が納得できる……後悔しない未来へと進めるように、旗を一つ立ててやる。この先で足が動かなくなってしまったとき、ほんの少し背中を押すだけの、ちょっとした手助けだ。


    ◆報酬フェイズ

    ・対価
    依頼人が身に着けていたお守り。


    「ほんとにこんなんでいいの?……変なの」
    今回の報酬として少女がお守り代わりに身につけていた何かの牙を指定すると、首を傾げながらすんなりと手渡された。
    「魔女ってのは変なもんが好きなんだ。見てわかんねぇ?」
    カウンターに腰掛けたまま、大げさに手を広げて見せる。何に使うのか推測すら出来ないような道具たちが乱雑に並んでいるカウンターに、何が入ってるのか一目ではわからないような大小の様々な瓶が所狭しと置かれた棚。そしてこの館の主である、蛇のような男の魔女。変なものしかないだろう。
    少女の赤らんだ目元が笑ったのを見て、カウンターからふわりと降りる。そしてそのまま扉へと向かい、ドアノブを回す。
    「さ、用が済んだなら帰んな。こんな変なとこ、長居するもんじゃねぇよ」
    扉の外はもう太陽が高い位置まで来ていた。薄暗い室内に慣れた目をチカチカさせながら、促されるままに少女は扉をくぐる。
    「ありがとうございました」
    深々と頭を下げ、感謝の言葉を述べてから、少女は雑踏へと消えていった。

    「さて……一仕事終えたことだし、一服すっか」
    扉を閉じて室内を見渡し、パチン、と指を鳴らす。すると所狭しと瓶の置かれた棚、その一部の輪郭がぼやけ、ずるりと動き出した。
    子供であれば容易く丸呑み出来そうな大蛇が、そこにいた。太く長い胴体を優しく撫でて、誘うように手を差し出す。
    「お待たせ、俺のレディ」
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    にし乃

    DONE夏♀と喧嘩した五の話です。夏が某お煎餅を好きというのは完全なる捏造。
    短いのでおやつ感覚で、何でも楽しんで下さる方のみどうぞ!相変わらず拙いものですが、私も五夏のフェスティバルに参加したかったので。
    俺の誠意とお煎餅傑と喧嘩した。
    きっかけは確か、俺が窓のババアにきちんと挨拶をしなかったからとか、そんな些細なこと。
    「挨拶くらい幼稚園児でもできるよ」って呆れたみたいに言われて、頭にきて「庶民」とか「ブス」とか「変な前髪」とか色々言い返した。
    気付いたら傑は目の前からいなくなっていて、取り残された俺は夜蛾センからゲンコツを食らったのだった。

    「くっそ……。」

    一晩経ってもイライラが消えてなくなることはなく、俺は八つ当たりみたいに教室の扉を乱暴に開けた。
    三つ並んだ席のその真ん中で、傑は涼しい顔をして携帯をいじっていた。中学時代の知り合いとでもメールをしているのだろうか。そう思ったら、胸がモヤモヤムカムカした。
    俺はわざと音を立てて、自分の席にドカッと座る。いつもだったら俺に気付けば「おはよう」と言ってくれるのに、傑はこちらを向くこともなかった。挨拶をきちんとしろって昨日言ったのお前だろ、と思ったが、こちらから話しかけるのは負けた気がして俺も黙ったままだった。
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