本音...
「ハナの馬鹿!!」
突然、そんな怒号が部屋に響き渡る。
特になんでもない、今日もいつも通り事務所で書類を捌きながら仕事を持ってこいと、浅霧に文句を垂れているはずだった。
別の課に呼び出されていた観月が、ただでさえ立て付けが悪くなっているドアをぶっ壊す気かと思うくらい思い切り開けてくるまでは。
「……は?」
俺の戸惑いに反応することなく、観月はそのままずかずかと部屋に入って来る。そして、俺の真ん前で立ち止まると思いきり机を叩きつけた。その衝撃で、積み上げられていた書類の山が崩れる。
「おい……っ!」
思わず声を上げるが、観月は構わず言葉を続けた。
怒りを抑えきれないといった表情で、肩で息をしながら。
普段なら決して見ることのないその姿に、俺は呆気に取られて何も言えなかった。
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