毎日SS8/10 机に頬杖をつき、ノートのページを捲ったまま、目が覚めた。
「アイツ、まだ持ってたんだな」
もちろん、そんなことは知っている。鍵の掛かった机の引き出しの奥に、ずっと仕舞い込まれていた。
茶番のような独り言をこぼし、指にはりついたページを捲る。書いて、消した告白を、ケイゴは知らない。
ウルフ自身、このノートを開くのは久し振りだ。
『オレの中にいるのがウルフでよかった!』
ケイゴの筆跡で残された言葉が最後。少なくとも、三日月を見ればウルフに変身してしまうケイゴは、そう思っている。
実は、気まぐれで始めた二人きりの往復書簡には、続きがあった。
二人のやり取りで埋まる罫線ノートを、一番最後まで捲ると、ウルフの文字が見える。
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