もし、ヒカセンが5.0途中でアゼムの記憶を思い出したなら。1
空に星が輝きはじめる。ここラケティカ大森林にも、夜が訪れたのだった。
キタンナ神影洞をあとにして、俺たちはクリスタリウムを目指し、林道を歩く。その道中は、妙に静かなものだった。
「蛮神であるゾディアークとハイデリン……そして、その召喚者だったアシエン……」
ヤ・シュトラの呟きに、各々が反応を示す。
「まさかここに来て、あんな話まで聞くことになるとはね」
話とは、先ほどふらりと現れたエメトセルクの言葉である。使命を果たした安堵と同時に、彼の言葉は、俺たちに驚愕と不安をもたらした。
キタンナ神影洞の壁画をなぞって語られた、忘れられた歴史。ゾディアークとハイデリン、そしてアシエンの正体。エメトセルクの言葉が、すべて真実とは限らないが、嘘である証拠もない。ここで議論しても果てがないことは皆も承知しており、俺たちは、とにかくクリスタリウムへの帰還を目指すのだった。
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