❏設定❏
・とくになし
❏本文❏
愛莉「彰人くん、今日は街中で偶然会っただけなのに、買い物を手伝ってもらうことになっちゃって悪いわね」
彰人「いえ、気にしないでください。絵名が急にチーズケーキを食いたいなんて我儘を言いだしたせいで、材料を買いに行くことになった……なんて話を聞いてしまったら、手伝わないわけにいきませんから」
愛莉「ま、まあ、そうね……わたしは我儘なんて思ってないけど、弟の立場の彰人くんからしたらそう感じてしまうのも無理はないわよね」
彰人(さすが、桃井さんだな……急な無茶ぶりで人に手間をかけさせても平気な顔をしてる絵名と違って、随分と心が広いっつーか……)
彰人「それにしても、チーズケーキの材料にしては、買った物が多くないですか?」
愛莉「あ、荷物が重かったのなら遠慮なく言ってちょうだいね、彰人くん。代わりに持ってくれることになったのに、調子に乗って買いすぎちゃったかしら……」
彰人「いえ、そんなことないですよ」
愛莉「そう、良かったわ……気を遣わせちゃうといけないと思って黙ってたんだけど、買い物を手伝ってもらうお礼に、彰人くんにもパンケーキを作ってあげようと思ってたの」
彰人「……! そうだったんですか、どうりで……」
愛莉「ええ、絵名にも言ったけど、腕によりをかけて作ってくるから、楽しみにしててちょうだいね、彰人くん」
彰人「はい、ありがとうございます、桃井さん」
愛莉(本当によくできた弟よね、彰人くんって……とても気が利くし、今日もこうしてわたしの代わりに荷物を持ってくれて……ま、まあ、日常的に絵名に荷物持ちをさせられてて、慣れてるのかもしれないけど…… だとしても、すごく自然で、さりげなかったのよね……)
彰人(桃井さんの手作りパンケーキ、か……)
愛莉「……」
彰人「……」
愛莉(今日は、彰人くんとの距離を縮めてくれた絵名に、感謝しないといけないわね……)
彰人(今日だけは、絵名の我儘に感謝だな……)
〜終〜