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    @t_utumiiiii

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    @t_utumiiiii

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    冬日記組の男どれ引いてもオフェンス君にとってはろくなことにならないね……という趣旨の広義のオフェンス総(被害)受け冬日記組二次

    Pick your poison(オフェンス中心冬日記組) 「わかった!」と高らかにのたまう狂人もとい「冒険家」カート・フランクは、吹雪に閉ざされたこの荘園を渦巻く奇怪な因縁の様相を全て理解すると、まずは面子の中に一人紛れ込んでいる猟犬を彼のサバイバル能力を駆使して取り押さえると思いのほか手慣れた仕草で〝排除〟し、彼が〝極地探検〟のなかで身に着けた冷酷さ――例えば、罠に掛かった温血動物の背後を取ると、ことの子細を問い質すまでも無く素早く首にナイフを突き立て、その喉を掻っ捌く手際――に混乱した、いかにも裏のありそうな悪人面ではあるが、かの偉大なる冒険家の慧眼に掛かれば、実のところ巨悪を成す程の器ではない小物だったと判明したマジシャンが、訳も分からず食って掛かって来るのをどうにか落ち着かせようと揉みあっている内に、向かい合っている男の腹の柔らかいところに、深々と、例の猟犬の喉を先刻掻っ切った際に使ったナイフが刺さってしまい、腸を掻っ捌いてしまって、(これでは楽に死ねないだろうから)と、カートは口から血の混じった泡を吐きながら彼に向かって罵詈雑言を叫ぶマジシャンを「楽にして」やってから、殊の外申し訳なさそうに瞼を伏せつつ、首を掻っ切られてからは何も言わなくなったマジシャンの、経年劣化からか厚ぼったくなった瞼を閉じ、ショーマンを志していたものらしく、擦り切れてはいるが気障ぶった中折れ帽をその未練がましい死に顔に掛けてやってから、カートは続いて、マジシャンの両足をもってその背中を床に引き摺りながら――血の道が出来てしまうが、そこは致し方がない――荘園の裏手に広がる雑木林に向かい、雪の降りしきっている黒々とした木の幹にマジシャンの亡骸を立て掛けてから、まずは変わり果てた姿となった野蛮人を、乱暴に縫い合わされた彼の可愛い子ちゃん、もとい例の猪の凍った腸の中から取り上げると、簡易ながらもキリスト教者らしく(カート・フランクは聖書を一通り読んだ記憶がある程度で、神学の心得は無い以上、それはどうしたって「キリスト者ぶった」と言うしかない)、凍った土に穴を掘って、その中に亡骸を葬った。
     翌朝になって中毒症状から復帰したウィリアム・エリスは、冒険家の話を八割の恐怖(道理が通じないが行動力のある者というのはこの世で最も恐ろしいもののひとつだ)と、二割の納得を以て、いたって神妙に聞いていた。
    (この人が真相に気付いた時、彼らは結託して彼を妨害、いや、それどころか、口封じをしようとしたっておかしくはない)
     ウィリアムは、カートが言うところの「猟犬」、もといナワーブ・サベダーと名乗ったアジア人の傭兵が、例の師匠殺し(マジシャン)と結託して何かを嗅ぎまわっていると誤解していたし、彼にとってカート・フランクは、毒を飲まされた自分に的確な処置を施した、言わば命の恩人でもあった。

    「だが、これからどうすればいいんだ……」
     病床からやっと起き上がったかと思うと、「ゲーム」の為に集められた四人(それも、元々一人欠員が出たものを補ってようやく四の頭数を揃えたもの)の内、半分が消えていた――その事実を理解し、頭を抱えるウィリアム(彼はこれからの人生設計を全くこの賞金に依存して描いていた)に、カート・フランクは「そう悲観するな!」と力強い声を掛けた。
    「野人と入れ替わりにセルヴェ・ル・ロイが来たように、荘園の主は補欠要員を送って来るかもしれないだろう? それにもし、このままこの荘園が吹雪に閉ざされ、エウデュリケ山脈の只中に取り残されているのだとしても――君は相当に運がいい。遭難した先に、経験豊富な冒険家がいるんだからな!」
     油をつけているわけでもなく不思議と色艶の良い髭で口周りを覆っている男が、その風体にしては不釣り合いに明るく、それこそ年端の行かない子どものように無邪気に、輝きすぎる瞳――それは活動的な性質の現れとも言えるし、口さがないものは「狂人の証」と言って憚らないだろうが――をきらきらと輝かせながら「俺達は今、現代風ロビンソンクルーソーの只中にいるんだ!」と言うと高らかに笑い、まるでト書きを読むようにその口は物語を紡いで止まないが、手では何故か持っている包丁を全く手放そうとしない――そう言えばウィリアムが起き出して来た時には、食堂と台所をせわしなく行ったり来たりしていた彼はその時、「丁度良かった、これから朝食を作るんだ。」と言っていたかもしれないし、単純にウィリアムの出方次第では、彼のことも処分しようと考えているからこそ包丁を握り締めているのかもしれないが、兎に角、ウィリアムに偉大なる冒険家のその海よりも深い思慮から来る高邁な真意はわかりかねたので、彼はひとまず黙っていることにした。ウィリアムは、ともすれば蛮勇に近しい気質を持っていたが、流石に目の前で男が腕を大袈裟に振る度に鋭い光を放つ刃物が見えていない程に、愚かと言う訳でもない。
     一方のカート・フランクは、黙りこくっているウィリアムのその態度を「傾聴」だと思い込んだのか、気分のよさそうに長々と喋り続け、まるで台の上で演説を打っているように、そこに存在しない無数の聴衆を見渡していた爛々とした目が、ある時、不意にウィリアムの前で焦点を結び、「君の役割も、改める必要があるな」と彼は独り言ちると、それに続けて「これから君のことは、フライデーと呼ぼう」と宣言した。件の漂流記の主人公は最終的に「絶望の島」と言われた孤島からの脱出に成功するが、その傍らには常に、島でのサバイバル生活を助ける一人の黒人奴隷がおり、それにあやかった名付けだという。ウィリアムは彼にしては控えめに、いかにも我の強そうな太い眉頭を弱ったように寄せながら、「俺は、ウィリアムと呼んでくれた方が気分が良い」と進言したが、こういうものは様式にあやかるべきというのがサバイバルの教えの一つにあるのだと、それも朗々と歌うように続ける男の言葉よりも、むしろ、彼が片手に何故か、未だに握りしめている包丁、そして、カートが見せる支離滅裂な言動のわりに、思いのほか冷徹な行動の実績――二人の「失踪者」が辿った末路――を前に、それが自身の感覚としてそれはやや不名誉に女々しいものだとしても、ウィリアムは自分の命を守るための賢明な判断として、その場では、大人しく口を噤まざるを得なかった。


    ***


     あれからしばらく意識を失って峠をさ迷っていたが、中毒症状からようやく立ち歩けるまでに回復したウィリアムが、荘園で自分に宛がわれた部屋から出て、久方ぶりの食事を求めて台所までやってきたのを、グラスに注がれた赤ワインを片手にじろりと見遣ったセルヴェ・ル・ロイは言った。
    「…………その顔、思い出したぞ」
     あまりに急な、それも、彼がかなり恐れていたことに――その事態は常に、ウィリアムの頭の中にあり続けたことだった。他人の秘密を知ることは、必ずしもいいこととは限らない。マジックショーなんて見なきゃよかった! あの鎖に、何か仕掛けてた人……彼には、俺が見えただろうか? ――頭が真っ白になり、「何のことだ」と誤魔化すか、或いは俺こそはラグビーの発明者こと稀代のスポーツマンことウィリアム・ウェッブ・エリスだからな、などとそれらしい二の句を継げないでいるウィリアムに向かって、セルヴェはさらに続けて、「お前は、あの時のあいつだな。」と、どこか詰問めいた調子を帯びた刺々しい口調で言いながら、自身の被っている中折れ帽の位置を鍔を抓んで調整しつつ、入り口で立ち尽くしているウィリアムに向かってにじり寄るように歩み寄ると、コートの内側に仕込んでいた種も仕掛けもない鎖をじゃらじゃらと取り出し、それを目にしたウィリアムが白目を剥きながら、しかし流石にスポーツマンとしての鍛え方が違うからか、貧血であっさりと倒れたりはせず、その場で何とか踏ん張っているのを特段気にする様子もなく、彼が望むようなトップアスリートであるとか、人気スポーツの父祖としての地位はなく、忘れられているように燻っているにせよ、曲がりなりにも身体を資本とするスポーツマンである彼の、日に焼けて逞しい首にタイを巻いてやるような自然な仕草で以て、彼の首に鎖を巻き付ける。
     そこに、セルヴェの思惑は二つあった。一つは、宗主国人種に向かって媚び諂うような態度もなく、彼が進めるべき調査を妨害しながらこそこそと嗅ぎまわっている様子の、例のすかした目をしたアジア人傭兵の鼻を明かしてやること、もう一つは、偉大な老マジシャンの後継人であり、今世紀最大の脱出マジックマジシャンに他ならない彼の、絹で織りあげられた純白のハンカチに着いた油シミのような汚点を知る者を始末すること。まさか、ネズミの罠の為に使った毒入りのワインを人間が飲むとは思わず、屋内でラグビーボールを壁にぶつけたりしているあの無礼な若者が「ワインを飲んで中毒を起こした」と知った時には、彼は人並みに狼狽えもしたが、その時点で、彼が例の少年であることを知ってさえいれば、ああも狼狽えることはなかっただろう――セルヴェが例の「少年」のことを思い出したのは、実にほんの数秒前のことだった。それは、二晩近く中毒に苦しみ、汗の染みたバンダナを外したウィリアムが台所に入ってきた時で、その時までは、彼の出方次第では、謝罪の文句を口にし、簡単な手品を教えてやろうとも思っている程だったのだ。
     しかし、運はセルヴェに向いていた。ジョンが事故死した日のショーのことをそれとなく示すと、ラガーマンは明らかにぎこちなく軋みながら狼狽えた。イリュージョンには、種と仕掛けとなる要素の二つが不可欠だ。調査を邪魔するいけすかないアジア人と、口封じをするべき男。一行を幽閉するように雪の降りしきる冬山の荘園は、丁度ショーで観客の前に見せる、鎖でがんじがらめにされた、「脱出マジック」にあつらえ向きの鉄の箱にも擬えることができるだろう。
    「……働き次第では、私の助手として生かしてやろう。」
     まずは、先刻食って掛かってきた例の狂人を始末する。あの狂人は行動が読めない上に妙に力が強いが、確実に自分の側に着く一人が居り、2対1の状態を作り出せるのならば、話は別だ。
    「私が手段を選ばないことを、君はよく知っているな?」
     いつの間にかセルヴェが自身の着込んでいるスーツの裾から取り出したマジックステッキを、まるで眉間に突きつけるような具合で向けられたウィリアムは、銃口を向けられたような落ち着かない気分に胃を振るわせながら、自分の首に巻かれた鎖を振りほどこうとそれを片手で握り、その時初めて、彼の首回りで輪を作った鎖に、存外しっかりとした錠が掛かっていることに気が付く。
    (俺は、どうするべきだ?)
     師匠殺しの刃が、今や自分の方へまっすぐ向けられていることに対して、この上なく動物的に臆する身体を奮い立たせる為、ウィリアムは何かを考え付こうと必死に瞼を閉じたが、首に掛けられた鎖を解く方策なんて引き千切るしか思いつかないし、それをやろうにも、病み上がりの身体ではうまく力を入れることが出来ず、その上、鎖を片手で引っ張ったせいで自分の首が締まり始めていたのだが、ウィリアムは目の前の事態をどう打開するか考えることで手一杯で、自分の手が仕出かしていることにまるで気が付いていなかった――つまり、自分の手で鎖を引っ張り、自分の首を絞め始めたウィリアムの奇行を、いっそ鼻白むような半目で見遣るセルヴェの顔を見ることもなく、彼の視界は程なくして暗転する。


    ***


     水中に引きずり込まれていたボールが、抑え込んでいた手を離された拍子に、急激に水面に向かって浮上していくようにして目を覚ましたウィリアムが、腹の底で冷え切っていた息を吐きだそうとすると、これまで幾度となく噤まれていた彼の唇は、冷や汗が渇いたせいか、或いは涎の枯渇か、兎に角数年開かれておらず、金具が錆びて埃の詰まった扉のような手応えがあり、ウィリアムはそれと数秒格闘した後に、「ぶはっ」と大袈裟な音と共に、ようやく口を開くことができた。見回すと辺りはどうやら夜のようで、割れた窓を板で塞いだ向こうから差し込む白っぽい月に照らされた荒れ果てた部屋は、どう見ても例の荘園の一室には思えない。
    「どうしたんだ」
     その時、暗がりの方から平坦な声が差し向けられてウィリアムがそちらを見れば、月明かりの届かない暗がりの中で、フードを被った男が立っている。フードまでは辛うじて輪郭を見て取ることができるものの、被っているフードの内側は全くの闇で、そこから、撓んだ弓のような切れ長の白目と暗い色の瞳孔が、小屋の隅に寝そべっていたウィリアムを見据えている。それは、彼にとって見慣れない顔ではなかった。例の荘園で一時行動を共にすることになった、アジア人の傭兵だ。
    「あ、あの、あいつ、セルヴェ・ル・ロイは」
     急速に覚醒した分、先刻瞼の裏で見ていた鮮明な景色を今目の前にある景色と区別できていないまましどろもどろに言い出すウィリアムに、フードを被ったまま暗がりに立っていたナワーブは狼狽えた様子もなく、ブーツを履いたまま小屋に上がり、小屋の壁際で薄っぺらい毛布を巻きながら、床に敷かれた板の上に横たわっていた(ウィリアム自身は眠りにつく前、「こんなものなくたっていい」と抗弁したが、ナワーブはそれに対して「一枚あると随分変わる」と言って、彼の身体をその上に横たえさせたのだった)ウィリアムの近くまで歩いてくると、「死んだだろ」と淡々と事実を続けながら、ウィリアムが身体に巻いていた薄っぺらい毛布を掴み、機械的に剥ぐ。筋骨隆々として見事な程の彼の逞しい脚を支えるべき足首には、決して清潔とはいえない(が、野戦経験の多いナワーブからすれば、「まあ十分だ」と判断できる程度の)包帯が巻き付けられていた。
     あの荘園に突如現れた鹿頭の怪物から逃れ出た彼らは、黒い樹皮が剥き出しになって永遠に続いているような林の中に遺棄されるようにしてあったあばら屋に身を寄せ、吹雪がすっかり止んですっきりと晴れわたるせいで、僅かに残った暗がりより他に身を隠す場所のない満月の夜の森をやり過ごそうとしているところだった。ウィリアムは道中で錆びた仕掛け罠を踏み抜いて、足首に手傷を負っていた。
    「じゃあ、あの、あの、頭のおかしい人は……」
     先刻までの連続する夢に見た狂人の髭面を思い出しながら、熱にうなされるようにそう言い続けるウィリアムの顔をナワーブは改めて一瞥すると、一見して発熱しているようには見えないものの、念のため額に手をやってから「そいつも死んだ」と、やはり淡々と続けた。ナワーブの、まるで今日の天気をただ報告しているというような淡々とした言いぶりを聞くと、自分がそれまで見ていたものが全く夢である実感がやっと追い付いて来たのか、それまで張り詰めるように肩をいからせていたウィリアムは目に見えて弛緩しながら、「俺は、助手なんかじゃない……」と殊の外憎々し気に独り言ちる。
    「ああ」
     ナワーブは、ウィリアムが語気を荒くして言い放ったそれを大して気にする様子もなく、いたって穏やかな調子で相槌を打った。というのも、マジシャンと冒険家を始末した後、必然的に二人で過ごす時間が多くなった結果、沈黙に堪えかねたウィリアムが彼の半生を事あるごとに語って聞かせため、ナワーブはウィリアムの願望の形を、それなりの克明さで理解するようになっていたからだ。自分に与えられるべき賞賛と、名誉が与えられないことへの不満、再起するために入用な金、そのために、ウィリアム・ウェッブ・エリスは、この荘園を訪れた。ナワーブは他人の来歴に殊更興味がある性質ではなかったが、一時的なチームを組む相手である〝仲間〟の面子については冷静に分析し、ある程度覚えておくという性質をもっていた。それは、任務遂行のためには必要な、そして思いのほか重要なことだからだ。
     ナワーブは不名誉な悪夢を思い浮かべながら「全く酷い夢だった」とぼやくウィリアムの言葉に適当に頷いて見せつつ、彼の負傷した足首に巻き付けていた包帯を緩めると、その状態を確認する。そして、若干熱をもちながらうっすらと腫れ、生々しい赤色の傷口の周囲に白っぽい膿の浮いているその傷口を塞ぐように、緩めた分だけ包帯を巻きなおすと、その時にはこここそがそれまでの悪夢とは異なる現実世界である意識を持ったからか、我の強そうな太い眉を思いのほかしおらしく下げながらナワーブを見遣ったウィリアムが(傷は良くなっていると思うか?)と尋ねてくるよりも先に、「悪くはなってない。」と気休めながらに真面目な顔でそう口にした。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
    5388

    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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