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    ・オタクの二次
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    DOODLE弁護士の衣装が出ない話(探偵と弁護士) ※荘園設定に対する好き勝手な捏造
    No hatred, no emotion, no frolic, nothing.(探偵と弁護士) 行方不明となった依頼人の娘を探すため、その痕跡を追って――また、ある日を境にそれ以前の記憶を失った探偵が、過去に小説家として活動する際用いていたらしいペンネーム宛に届いた招待状に誘われたこともあり――その荘園へと到達したきり、フロアから出られなくなってしまった探偵は、どこからが夢境なのか境の判然としないままに、腹も空かず、眠気もなく、催しもしない、長い長い時間を、過去の参加者の日記――書き手によって言い分や場面の描写に食い違いがあり、それを単純に並べたところで、真実というひとつの一枚絵を描けるようには、到底思えないが――を、眺めるように読み進めている内に知った一人の先駆者の存在、つまり、ここで行われていた「ゲーム」が全て終わったあと、廃墟と化したこの荘園に残されたアイデンティティの痕跡からインスピレーションを得たと思われる芸術家(荘園の中に残されたサインによると、その名は「アーノルド・クレイバーグ」)に倣って、彼はいつしか、自らの内なるインスピレーションを捉え、それを発散させることに熱中し始めた(あまり現実的ではない時間感覚に陥っているだけに留まらず、悪魔的な事故のような偶然によって倒れた扉の向こうの板か何かによって、物理的にここに閉じ込められてもいる彼には最早、自分の内側に向かって手がかりを探ることしかできないという、かなり現実的な都合もそこにはあった。)。
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    DOODLE2024春節イベの獅子舞が骨董修復士に振られる二次
    獅子の妻問い(獅子舞と骨董修復士 泥→庭) 点睛に必要な龍舞道具が行方不明になっていること、そして龍舞隊がチャイナタウンへ戻ってきた理由も、それらの道具が偶然にもこのチャイナタウンに流れ着いたことを耳にしたからだということを知り、本業である骨董の修復を行いつつ、龍舞隊の「龍舞名簿」に名を連ねたいという願いに協力する為、必要な道具を探すことにした骨董修復士は、何かと為すべきことが多い中で手が足りていない状況から必然的に、店を閉めてからも作業台に灯りを灯したままにして、作業を続けることが多くなっていた。
     その日も、「ガタン」と戸口から聞こえて来た音(猫か風が扉にぶつかったのだろう)に気を取られた彼女が顔を上げた時には、時刻は既に真夜中に入りつつある頃だった。いけない、またこんな時間まで夜更かししてしまうなんて。このところ夜更かしが続いていたから、今日こそは早く寝ようと思っていたのに。ああ、でもこの作業は、今日にも終わらせた方が、後が楽で……などと彼女がぐるぐる考えている内に、カラカラカラと引き戸が開けられていく音が続く。まさか、私ったら、鍵を閉め忘れたのかしら? 
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    DOODLEエンジェルから「アラスターってロリコンなの?」という話を振られたハスクのお腹が痛くなるタイプの二次 ※ハズビンホテルへようこそS1Ep7ぐらいまでのネタバレを含みます。 ※フィーリングの二次なので捏造がいっぱいあるとおもう
    (アラチャ ハスクとエンジェル) 彼の魂の支配者によって「ハスクの持ち場」と定められたホテルのフロント兼バーカウンターに四対の内の上から二番目の肘を掛けながら、「ハスクのあの赤いご主人サマってさぁ、ロリコンなの?」と言うエンジェルの訝るようにもからかうようにも響く声の調子に、ハスクは思わずそれまで手に持っていた酒瓶を、危うくカウンターの裏の床に落としてぶち撒けるところだった。
    「なっ、急に、な、なな……」
     なんでそんな事を急に、と、彼がバリトンの声をらしからぬ調子に震わせながら返すさまを、エンジェルは首を可愛らしく見えるような角度に小さく傾ぎ、艷やかな桃色の鬣を揺らしながら、さも愉快そうなものに目をつけたとき猫のようににんまりと笑うと、「だぁってさぁ~」とこれみよがしに続けながら、彼の持つ四対の腕の中で一番上のそれを、やれやれというように広げつつ肩を竦めて見せる。
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    DOODLE※ハズビンホテルへようこそS1Ep8のネタバレを若干含みます
    アラスターは何でチャーリーに手を貸しているのか? という感じの妄想(広義のアラチャ)
    (アラチャ) 私が彼女を支援すると決めたのには、彼女が持つ「後継者」という地位が全くの無関係である、とはいえないだろう。地獄の王の後継者にしてリリスの娘。地獄のプリンセス。側近く取り入っておいて、まあ損にはならない肩書だ。それが今のところ、全く実を伴わない肩書きばかりの権威であろうと、それによって容易に開くドアが存在することもまた事実だ。物事を成し遂げねばならないときは反発の少ない道を選ぶほうが、より容易な目的達成につながる。彼女は特別な切り札、ともすれば、裏口の鍵に繋がるやも知れませんね。ええ、それは否定できない。
     とはいえ、それだけを目当てに、私はホテルの扉を叩いたわけではない。端から「地獄のプリンセス」を目当てにするならば、もっと早いうちから取り入る道もあっただろう(スポンサーだなんて回りくどい方法を取る道が最善とは限らない。)。それに、そもそも他人の権威を宛てにするのは趣味ではない。次に踏み上がるべき階段を見つけるために、肩書きやタイトルを持つ人物に目をつけることこそあれ、その点において、シャーロット・モーニングスターはほぼ無害、口だけ、肩書だけ、踏むべきステップではない。予め目をつけておくなんてことはしていなかった。道沿いの店にあるショーウィンドウに置かれたあの不格好な箱から、救済を高らかに歌い上げるその声を耳にするまでは。
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    DOODLE白黒無常と骨董商 ※日記のないキャラクターの言動を捏造 ※ご都合荘園
    鄉誼(白黒無常と骨董商) 自らの身分を骨董商と偽った――実のところ、それは偽りと言うほどの全き嘘というものでもない。単に、彼女がそこに本腰を入れていたという程でもなく、異なる仕事を本職にしていた期間のほうが長いという話であるが――威十一は、今の彼女にとって最も大事な人を取り戻すためにその荘園を訪れた。
     気密性の高い西洋建築、吹き抜けの玄関ホールから階段を上がって、二階に支度された彼女のための客室は、取り立てて説明することもない、強いて言えば、どうにも古ぼけた印象のある洋館の一室だったが、彼女が荘園の客室で夜を過ごすようになってからしばらく経ち、試合での死人が客室の中で平然と生き返るといった、およそこの世の摂理に反して異常な荘園の生活に馴染んで来た頃のとある夜、前夜までは何もなかった夜の廊下から、梁の軋むような不気味な音が響いてくる。威は荘園主から、そして、彼女がここの玄関ホールに到達したときには既にそこにいた先客から言い渡されている夜間外出禁止のルールについて知ってはいたものの、それにしても不気味だと思い、早々にその正体を確かめるべく――よからぬ客の来訪であれば、叩き切ってやれば良い――客室のドアを開け、共用部の廊下を見回すと、消灯された廊下は、見渡す限り暗いばかり――と思ったところで、不意に「もし、そこの」と声を掛けられた。威が咄嗟に、声のした方向に彼女の武器である簫を振りかぶると、よく見ればという具合でそこに立ち上っていた、霞か霧のような具合の薄い人影は、みぞおちに良い拳が入ったという具合に呻く。
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    DOODLE「荘園旧友」はゲーム内の都合(完全無課金チュートリアルタスククリアで付与される非チェイスアイテム持ちキャラクターへのバランス調整要素)だと思っていますが、それはそれとして「荘園旧友」が試合内で記憶を消してリユースされたキャラクターに付与される特質だったらというオタク妄想です。※庭師誕生日手紙四年目の要素 ※19世紀末をイメージした差別的な描写
    荘園旧友(弁護士と庭師) フレディ・ライリーは常に日々を記録して、自分の記憶に騙されないように警戒することを心掛けている。彼の職業は弁護士だ。社会的信用を重んじる仕事であるからして、毎朝起床すると顔を洗い、着替えた後に前髪を上げて髪を固める。彼のその生活ぶりは、彼の記憶以上に雄弁だった。
     彼には、ここに来るまでの記憶がない――覚えていることはいくつかある。過去の訴訟での失敗、荘園のゲーム、約束された賞金。彼には、自分が自ら意思を持って、この荘園を訪れた……覚えがある。しかし振り返ってみれば、記憶には不自然な点が多い。「過去の訴訟」で、俺が犯した失敗とは何だ?――そこでしくじった結果、自分の生活が経済的に苦しくなったことは覚えているが、その訴訟自体がどういったものであるかは、不思議な程に覚えていない。
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    DOODLEリパヘレ ヘレナアダムスが「良い子」の顔に触る ※日記未発表キャラの言動を背景推理等から捏造 ※捏造荘園(実装されたハンター・サバイバーが荘園で生活をしており、試合外でハンターとサバイバーの交流もある程度ある荘園設定) ※不躾な物言い
    顔のない男(「良い子」と心眼) 「顔を触らせていただけますか」という要望を受けたリッパーは、その場で僅かに、しかし、その不躾な要望によって気分を害したと主張するには十分な程度に〝眉を顰めた〟。そんな今の彼――荘園主から贈られたものである、「良い子」の衣装を携帯している――は、年若き紳士といった面立ちをしていた。身に着けているものは、紳士に望ましい思慮と礼節を思わせる深い緑色のジャケットに、洒落た雰囲気を演出する柄物のベスト、清潔な白シャツの首元を彩るのは、黒光りする程上等な絹のアスコットタイと、ピンというにはあまりに豪奢な大粒のサファイア(さらに、それは銀細工の蛇に縁どられている。)だ。すらっとした脚を覆うホワイトのスラックス。それらの、いかにもきちんとした、紳士らしいまっとうな格好に反して、「紳士らしく」整えられていないぐちゃぐちゃの髪は彼の目元を胡乱に翳らせていたが、それは鼻筋の通った白皙の顔と相まって、かえって彼に「神秘的な芸術家」という雰囲気を纏わせている。しかし、そのどれもが、彼に「顔を触らせてほしい」と申し入れた彼女には、関わりのないことでもあった。彼にその要望を申し入れた少女ことヘレナ・アダムスは全盲である。
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    DOODLEウィラマサ(広義)とちょっと幸運児

    ※サバイバーがみんな同じ荘園で生活している捏造設定に基づく妄想
    ※日記未実装キャラクターの言動を捏造
    John/Jane Does(ウィラマサとちょっと幸運児) 「忘却の香水」は調香師ウィラ・ナイエルが生み出した傑作であり、使用者の記憶を忘却させる奇跡の調合であるが、彼女自身はその効果によってか、そのことを忘却している。荘園の中で繰り返される試合の「再現」において、そのアイテムは(おそらく荘園主の計らいで)マップのそこかしこに配置されたプレゼントボックスから入手することもでき、調香師以外の招待客(サバイバー)が使用した場合も、彼女が使用する場合と同じような効果を得ることが出来るが、これもやはり荘園主の計らいにより、その効果は試合内に限定されている。曰く、「直前に受けた負傷を忘却する」ということである。
     試合の再現の中で使用されるアイテムは、どれも基本的にその試合中・そのマップ内でしか使えないように制限されているが、中でも「忘却の香水」に関する荘園からの管理は厳格であり、その作者であるウィラですら、一度の試合に持ち込める最大数は制限されている。その原因には以前、この香水を発端に自らのアイデンティティの崩壊を引き起こし、自殺を図ったサバイバーが居たからだった――とはいえ、ウィラは彼女の発明が用いられたその不名誉な事件さえも既にすっかり忘却の彼方であり、彼女の手元に残っている記憶というのは「忘却の香水を使用できるのは試合内のみ」そして、「一度の試合で使用できる最大数は三回」という二つの規則だけだった。なお、彼女以外の人間に使用が許されるのは二回までである(調香師だけ一度回数に猶予があるのは、製作者である彼女への敬意を示してか、或いは彼女が製作者である故に持つ耐性を考慮してのものだろう。)。
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    DOODLE幸運児くんと機械人形の声が同じなのは普通に声優の問題だと思いますが……という感じの二次です(機械技師と幸運児)※ご都合荘園設定※日記背景推理のないキャラクターの言動を捏造しています
    かたちのない(機械技師と幸運児) 機械技師トレイシー・レズニックは機械人形を操る技術を持ち、荘園の試合(ゲーム)にあたっては解読速度と手持ちの機械人形を用いたトリッキーな戦法、そして、「最後の試合」が終わるときまで試合で損壊しようが死ぬこともなく荘園に戻され、その中での共同生活を強いられる招待客(サバイバー)の面々の中では、幾分高飛車な性格で知られていた。
     例えば、荘園の中の共同生活に適応しているようなサバイバーの一人である庭師のエマ・ウッズから、イベントの飾りについて相談を受けると、「……それってさ、全員が参加しないといけないの? 荘園主の命令?」と、彼女は怪訝な顔で返す。それに対して、「荘園主さんからは、何も言われていないけれど……みんなでやったほうが、きっと楽しいの!」と、絵本の登場人物か何かのように楽しげに答えるエマに向かって、トレイシーがさらに返す言葉というのは「そのイベント? にさ、私の時間を占有する価値があるの? 説明して。」である。
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    DOODLE荘園から脱出した探偵オルフェウスと老修道女の会話 要素としてのイラゲキ ※日記のないキャラクターおよびNPCの言動の捏造 ※荘園に関する諸々の捏造(荘園の時間の流れ方は外部とは異なる/探偵オルフェウスは荘園内に囚われていたアリス・デロスと共に生還)
    monologue(探偵オルフェウスとゲキウ イラゲキ) 在りし日の姿は最早見る影もなくすっかり荒れ果て、誰もいなくなった荘園に残されていた記録を頼りに、人々の様々な日々を脳内で組み立て、物語を再構築する――そうして試行錯誤を繰り返した無数の推理の果て、遂に「事件の真相」というにはあまりに茫漠とした、しかし真相には変わりないそれを掴み、屋敷同様、かつて共に楽園にいた日々からは変わり果てた姿の――しかし紛れもなく、まだ息をしている往年の友人の手を取って、探偵オルフェウスは外界へと帰還した。
     そして、あまりにも長過ぎた荘園への逗留が様々な形で影響を及ぼし、身体の上にそれが現れている友人の身柄を、一旦病院に――かつて彼自身が記憶喪失に関するカウンセリングを受けていた診療所の医師から紹介を受けたそこに預けると、荘園での埃臭い逗留の記憶が浅くなりきらない内に、ダブリン行の定期船に乗り込んだのだ。
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    DOODLE日記を介した占い師と探偵オルフェウスの会話 要素としてのイラゲキ ※日記のないキャラクターの言動等を捏造
    dialogue(占い師と探偵 ややイラゲキ) 全ての客人が去ってから時が経ち、今はただ廃墟となって朽ち果てるのを待つばかりのエウリュディケ荘園に、人探しの依頼を受けて訪れた探偵オルフェウスは、何者かによる妨害かポルターガイスト、さもなくば建付けの悪い扉、兎角運命の悪戯めいたそれによって辿り着いたリビングの内側に閉じ込められ、そこで身動きが取れなくなってしまった。
     外に出られないのであれば、内に向かうしか無い。十年前の火災以来、たびたび抜け落ちてまるで頼りにならない記憶と、境のふやけたような自我とを携え、荘園の奥深くへ向かって調査を始めたオルフェウスはそこで、本に挟まっていたか、或いは直前に掻き分けた紙束から、不思議と彼の手の中に残ったのか、仔細は覚えていないものの、兎に角手の中に持っていたある手紙の封を開けた。自分宛てのものではない書き置きや諸々を盗み見るのは探偵の性というものだが、この場合は違う。先程偶然に手にしたものであるにも関わらず、その封筒の宛先には、彼の名前が書かれていたからだ――尊敬なるオルフェウス様。達筆ではないが、取り立てて拙いとあげつらうほどのひどさもない、素朴な調子の文字を連ねられた何枚かの便箋の中で、差出人はイライ・クラークと名乗った。
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    DOODLEリッパーとヘレナアダムスのお茶会 リッパーがヘレナアダムスのことを獲物認知してるので狭義のリパヘレです ※日記のないキャラの言動を捏造 ※実装されたハンター・サバイバーが荘園で生活をしており、試合外でハンターとサバイバーの交流もある程度ある荘園設定
    mouseion(リパヘレ) 午前中は降り続けていた小雨が午後になってあがり、窓の外からは明るい日差しの差し込む程の穏やかな天気になったことを、ヘレナは雨音がなくなった代わりに鳥の飛び立つ音が聞こえてきたことや、室温が僅かに暖かくなったことから知る。それと同じように、盲目のヘレナは「見ればわかること」を感じ取ることができない分、他人の纏う気配や臭いというものから多くを読み取ることができた。
     彼女は、失った視界の代わりに聞き取る音の反響を起こす白杖を脇に置いているときも、聞こえてくる足音や近づいてくるそれが纏う気配、そのにおいによって、誰がどこから近づいてきているか程度のことは、話しかけられるよりも先に、難なく察することができる。しかし、自らも文学者を志す読書家でもある彼女は、指先で文字をたどりながら本の内容に熱中しているとき、晴眼者と同じように、常に周囲に向けている意識というものが、疎かになることもある――今は「その時」だった。
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    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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    MAIKING寮生私立学校に通うウッズさん(花蕊)が記憶喪失になったのでピアソンさんと交際してくれる現パロ

    ウッズさん(花蕊)
    全寮制の学校(象牙の塔)で学んでいる高校生 交通事故の衝撃で記憶が飛んだ。家庭に問題がある

    ピアソンさん 
    一般男性 不注意運転で私立校の生徒を轢いてしまい、気が動転するあまり逆に病院に連れて行ったら轢き逃げ犯と疑われたので咄嗟に嘘をついた
    (泥庭)※現パロ 夜勤明けに春の暖かな陽気に当てられ、ハンドルを握りながらもふやけたような意識でぼんやりとしていたところ曲がり角から急に出てきた自転車の前輪を、止まりきれなかったバイクでそのまま突き飛ばした――要は、轢いた――その自転車に乗っていた、よりにもよってここらでは一番学費の掛かるだろう全寮制の私立の制服、白い麦わら帽子に紫のベスト、チェックのスカートを履いた娘が、つぶらな目を驚いたように見開きながら宙に浮かんだのを見たとき、ピアソンはこれまでも伊達に修羅場を潜った訳では無いが、ちょっとした「破滅」を見た気分で、文字通り目の前が真っ暗になった(よりにもよって私学の学生だ。あの身柄にどれだけ金がかかっているか、俺にはわかったもんじゃない!)。
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    DOODLE※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想(還…パロ)
    リサの行方を調査するMr.ミステリーが精神病院に入院しているマーシャ・ライリーの証言を聞く回です。
    ※精神病に対する偏見描写があります
    9 マーシャ・ライリーの証言によると、6歳になるまでのリサ・ベイカーには持病もなく、木登りをするほど元気な子供だったらしい。それがある日、急に頭が痛い、胸が苦しいと言うようになったのだそうだ。当時のマーシャは、レオの新しい工場――彼女の元夫は同じ頃、それまでの繊維工場を売却し、軍需工場の設備を購入して事業転換を行った――が、娘の体調不良の原因ではないか――例えば一昔前によくあった公害のように、そこで扱っているなにがしかの火薬なんかが、まだ害というものに無垢で無防備な子供の体には、有害極まるものなのではないか――と考えていたのだが、当時のリサを診た医師たちは誰ひとりとして、リサの病名が何であるかを突き止めることはできなかった。一人またひとりと医師から匙を投げられるたび、マーシャは(それが何であれ、はやく原因がはっきりしてほしい)と強く願い、診察の序盤で夫の仕事のこと――軍需工場のことを言い出すほどで、それが元で病院からの帰り道はいつも酷い言い合いになったそうだが、それでも原因ははっきりとしなかった。
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    DOODLEオルフェオ時空のクリピは放っておいたら「リサの家」の土地を買収して店を存続させたかったら付き合えと迫ってると思いますが、オルフェオのウッズさんは庭師日記4のウッズさん(リサ・ベイカーの復讐者)なので返り討ちにするでしょうし、エミリー先生は薄々ウッズさんのやったことに気付いても見守ってくれるからハッピーエンドですね!
    夢境の幕間(泥庭、エマエミ) ホワイトサンドストリート周辺での不動産売買で財を成した――彼が自分自身で吹聴する程の名声があるわけではないが、その業績と所業は全くの無名というわけでもない――投資家ことクリーチャー・ピアソンは、夜道を肩で風を切るように歩いてくると、掛かっている「Closed」のプレートを一瞥もせず花屋のガラス扉を何食わぬ顔で押し開け、ドアベルを臆面なく鳴らしながら、まだ明かりの付いている店内に入った。そして、従業員を先に帰して一人、レジの締め作業を続けていた花屋の店主に向かって、挨拶をするというには下卑たにやつき方で笑いかける。
     それは珍しいことでもない。花屋「リサの家」の経営で成功を収め、いくつかの店舗を経営するうら若い店主のエマ・ウッズにピアソンがやたらと言い寄っているのは、今に始まったことでもなかった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEホワイトデーに「バレンタインデーのお礼」をくれるピアソンさんと何も渡した記憶がないウッズさんの話です
    with pearl earrings(泥庭医) エマが部屋で机に向かい、彼女が日頃つけている継ぎの当たったエプロンのポケットに入る程度に小ぶりなサイズのノートを開いて、日々の園芸の記録を付けていたところ、ドアをノックされた。
    「はーい」
     それに何気なく応えたエマが、さらに「どなた?」と続けると、「う、ウウ、ウッズさん! わっ、わた、私だ、ク、クリーチャーだ。その、い、いまいいか」と、ドアの向こうから男の裏返った声が返って来て、エマは微かに表情を曇らせながら、迂闊に返事をしたことを後悔した。
     彼女に用があるらしく、部屋の前まで来ているクリーチャー・ピアソンとの因縁――彼はエマにとって、荘園での初回のゲームで同席した三人の内の一人であり、そのゲームの参加者はいずれも、過去に彼女に対して酷い仕打ちをした者たちで構成されている――は兎も角として、今時点のエマはその男のことを、「絡まれたら面倒な人」程度に思っていた。何かと付きまとってきて鬱陶しいし、それで思うように行かないと癇癪を起こして喚き出すところなんかを、エマは(子供じゃないんだから!)と、呆れるぐらいに思っている。そっと息を殺して、いないふりをすれば良かったかもしれない………。
    4201

    @t_utumiiiii

    DOODLEエミリー先生にリースを編むためにミモザを取ってきたウッズさんにダル絡みしたら花を分けてもらえたピアソンさんが浮かれてる現場に遭遇したフレディ・ライリーの二次です(泥庭+弁) ※セクハラ/強めの言葉の描写
    mimosa(泥庭+弁護士) 黄色く細かい綿埃めいた花が、しなだれるような枝先に向かっていくつもの連なっているそれには、ミモザという名があるそうだ。ピアソンにとっては、敢えて注目したこともない花だった。とはいえ、ミモザは都市の生活環境のなかではいたって身近な植物であり、日当たりのいい屋敷の南側の生垣や、こじんまりとして感じのいい庭の入口の門などに覆いかぶさるように生えて、春先には黄色く感じの良い花をつける。単純にそれらが、およそ都市の貧民街の中にすっぽりと納まっている、ピアソンの生活半径の内側に存在しなかった、というだけのことだった。
     あんたがよく手入れをしている例の中庭にそれが生えているのを見たことはない、などとピアソンが言ってみると、ミモザの花のついた嵩張る枝葉を腕に一抱えするほど持ちながら屋敷の廊下を歩いていたところで呼び止められていたエマは、僅かに面倒臭そうに、しかし、あからさまに皺を寄せたと見咎められない程度に眉頭を寄せながら、「……裏の林に生えているのよ」と言った。未だ姿を見せることのない荘園主の手紙によってほうぼうから呼び寄せられ、その後荘園に閉じ込められた招待客(サバイバー)らが仕方なく共同生活を送っている屋敷の裏手に、鬱蒼と広がっている林のことだ(定期的にそこから荘園の外へ脱出できないかを試す連中が現れるが、成功したという話はひとつも聞いたことがない)。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEミルエダ+オフェンス(※エダは不在)
    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理などから捏造
    ※19世紀末を想定した差別・偏見描写
    ※捏造設定荘園
    患者(ミルエダ+オフェンス) 荘園においてエミールに与えられた肩書き(ロール)は「患者」であるので、試合の場で彼が、およそ患者らしからぬ立体的な動き――鉤爪を使った逃走――を見せようと、多くのサバイバーは彼を「患者」と認識して疑わなかったし、彼が何故患者になったのかの来歴に興味を持つような奇特な者もいなかった。
     彼は常に、例の女の「心理学者」に連れられ、彼女よりも背の高い身体の肩を丸めながら女の影に隠れるようにしているが、試合の場での動きには申し分なかった。肉体に問題がないという事であれば、彼の病は精神か頭に関するものなのだろうと、消去法で推測することはサバイバーらにとってそう難しいことでもない。
     それ以前に、試合の場での活躍を見ずとも、日頃エミールが身に付けているのは、時に攻撃的な態度を見せる精神病者のための薄汚れた拘束衣だった (「心理学者」による治療は一定の成果を上げているようで、患者がそのような攻撃的な態度を荘園で見せたことはなかったが)し、汚れた包帯を巻き付けたボサボサ頭に拘束衣、しかも裸足という、少なくともあまり身なりに気を払っている風には見えない彼の容貌、特にその下瞼は、およそ「通常の人間」らしからぬ引き攣り方をしていたから、患者を一目見た時点で、彼の抱える「病気」が、精神か或いは脳機能に起因するものと検討を付けることもできない話ではない――つまり、エミールは一見して「患者らしい」容貌と身なりをしているということだ。しかも、彼の治療を行っているという「心理学者」に聞けば、その辺りの事情は特段の隠し立てもなく開示される。
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