浩賢(再掲)布団の上で素足が絡む。 あったかい。 この普段よりあったかく感じる足の裏は、多分眠たいんだろう。
「寝ていいよ」を言おうと口を開きかけたところで、浩一が先に俺を呼んだ。 後ろから抱きしめられているような体制なので、耳のすぐそばで心地好い低音が鳴る。 この声に名前を呼ばれるのが好きで思わず口元がゆるんでしまうのを、見られなくて良かった。
「賢吾くん、誕生日、なに欲しい?」
「ん? 別にいらないかな」
「そればっか」
「じゃあ、肉か寿司」
「毎年食いもんじゃん」
「食うの好きだもん、一緒に食お」
「……欲しいもんないの?」
「ないよ」
「俺にはいろいろプレゼントしてくれるじゃん」
「そうだっけ? 覚えてないや」
嘘をついた。 二つも。
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